激闘の第25回参議院議員通常選挙(以下、参院選)から約1ヶ月が経ちました。ネット選挙解禁から6年、それまでに5回の国政選挙も経験したことでより成熟したネット活用が進んでいます。これまでネット選挙は課題ばかりが目立ち、選挙の主役になることはありませんでしたが、今回の参院選ではまさに当落に影響を及ぼし、TwitterやYouTubeを活用したことで当選する候補者が生まれました。
政治家のネット活用を推進したい選挙ドットコムでは、全候補者のネット選挙情報を収集し調査・分析しています。
収集した情報は
・候補者情報(基本プロフィール情報、当落、得票数など)
・ホームページ情報(活用状況、ドメイン・スマホ化などの状況、それらに伴う評価)
・Facebook情報(アカウント情報、投稿、いいね、シェアなどの数値)
・Instagram情報(アカウント情報、投稿、ストーリー、いいね、シェアなどの数値)
・Twitter情報(アカウント情報、フォロワー数、フォロワー数の増減、ツイート、RT、いいねなどの数値)
・YouTube情報(アカウント情報、チャンネル登録者数、視聴数など)
など、以上の情報を軸に、公示日から投票日までの選挙期間を対象に集計し分析しております。集計データや分析レポートをご希望の方は、お問合せよりご連絡ください。
今回は、収集した情報の中でも特に選挙戦で目立ったTwitterの活用状況をもとにレポートしていきます。
候補者が利用したツールは?「Twitterが主戦場に」
これまでのネット選挙ツールでは、Facebookが中心になっていましたが、今回の参院選ではTwitterの活用が目立ちました。前回(2016参院選)はTwitterを活用する候補者は全体の67%だった理由として、
・Twitterは匿名性が高く炎上するリスクがある
・ネットは票にならないからリスクを冒してやる必要はない
という点が考えられ活用が進んでいなかったのですが、2016年の参院選で29万票を獲得した山田太郎氏や2017年の立憲民主党の躍進にTwitterが活用されたことなども影響し、今回活用する候補者が急増したと思われます。
※ 当選者の9割がホームページとFacebookを活用|第24回参議院選挙のネット選挙動向レポート(1)
コンテンツは街頭演説が中心に
全候補者のツイート数を合計すると、前回比216%アップとツイート頻度も大幅に飛躍しています。その活用の質に目を向けると、街頭演説がコンテンツ中心になっていることが解ります。その伝え方も進化し、街頭演説の告知ではなく、写真を添えて演説内の目立ったセリフを書き出したり、演説そのものを短く編集した動画で提供する等、視聴者を配慮したコンテンツが提供されるようになりました。
重要な指標はフォロワー数?ツイート数?RT数?
全体をまとめると解りにくいのですが、フォロワー数ランキングTOP10から順にみていくと、上手な活用が得票に結びついたケースが散見されます。
特に全国比例の候補者が上位に目立ちます。
その中でも最多得票となった山本太郎氏はフォロワー数も総RT数も多く、結果との因果関係が読み取れますが、10位の山田太郎氏は48,846人のフォロワーで539,567票と、得票に比べてフォロワー数は少ない様子が解ります。選挙ドットコムが行った山田氏へのインタビューでは、その戦略について「フォロワー数を増やすことよりも、周りの方に拡げてもらうことを意識していました。」と述べており、総RT数がもっとも多い候補者だったことがわかりました。
Twitterの活用によって当選したと思われる「山田太郎氏」のインタビュー記事は近日公開予定です。
期待される普段使いのTwitter
参院選が終わってから1ヶ月間のツイート状況を確認すると、選挙期間中の約1/4に減少しています。お盆など夏季休暇期間であったことや国会が始まっておらず本格稼働の時期ではない事もありますが、選挙期間中だけでなく普段からTwitterで有権者とのコミュニケーションを育んでいってほしいですね。