【侍J壮行試合】あの経験が今に生きている―4年前のW杯出場 大学J戦士がエール

侍U18壮行試合に先発した侍大学代表の明大・森下暢仁【写真:荒川祐史】

大学ジャパンのエース森下とリードオフマン宇草が4年前のW杯出場

 30日から韓国・機張(きじゃん)で開催される「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場する野球日本代表「侍ジャパン」のU-18高校代表は26日、明治神宮野球場で大学日本代表と壮行試合を行い5-5で引き分けた。先発した森下暢仁投手、「1番・左翼」で出場した宇草孔基外野手はそれぞれ大分商、常総学院の3年時にU-18W杯に出場した。これから初の世界一を目指す若き侍にエールを送った。

 戦いを終えた後、森下は落ち着いた様子で試合を振り返った。まずは投げ合った佐々木朗希投手について「やはりいい投手でした。指にかかった時の球は素晴らしかったですね」。佐々木だけではなく、降板した後も次々とマウンドに立つ5投手の投球を見て、「今年の(高校)投手陣は、誰が投げても抑えられるというくらい力があると感じました」と絶賛した。

 森下も4年前にW杯を経験。チームは米国に敗れ、準優勝だった。当時のメンバーには小笠原慎之介投手(中日)、高橋純平投手(ソフトバンク)ら豪華投手陣で、森下は先発1試合、救援2試合と決して“主戦投手”ではなかった。しかし、着実に力をつけて、大学球界屈指、今秋ドラフト1位候補になるまでに成長した。

「自分の時は、今の高校代表の投手たちのような力を持っていなかったです。(W杯は)とにかく自信を持って、これだ!と迷うことなく、行ってほしいです。それで打たれたら、仕方ない!というくらいの気持ちで。打たれても、抑えても、自分の思ったようにやってほしいです。それがいい経験になると思います」

 目指すのは当然、初の高校ジャパン世界一。しかし、野球人生において、こんな貴重な経験はない。そう感じながら、世界と戦ってほしいという思いがある。

 この日、大学ジャパンのリードオフマンを務めた宇草も同じ気持ちだった。「自分の時のU-18は結果が出なくて、苦しかったです。でも、その経験が今の自分に生きているし、頑張れています」。4年前の大会ではスタメン2試合。ヒットは途中出場のキューバ戦で放った1本で、代走などで出場。主力選手ではなかった。悔しい気持ちを持って、大会を終えていた。しかし、今は日米大学野球でも日本の1番を務める大学球界屈指の俊足好打の外野手になった。また、筑波大・篠原(敦賀気比)は大学ジャパンの主将、慶大・郡司(仙台育英)は、日米大学野球で本塁打を放つなどプロが視線を送る選手になった。

「臆することなく、思い切ってやってきてほしいです」

 日本のために、とプレッシャーはあるだろう。だが、それに縛られず、今しかできない経験を味わってきてほしい―。先輩たちはそう願っている。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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