長崎県産食材 高級ホテルに ザ・リッツ・カールトン大阪 関西での波及効果期待

19日の記念イベントで振る舞われた料理の例=大阪市北区、ザ・リッツ・カールトン大阪

 外資系高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン大阪」(大阪市北区)は8月から「長崎プロモーション」として、長崎県産の食材を生かした料理をホテル内のレストランで提供している。10月末まで。世界各地でチェーン展開する同ホテルの取り組みに対し、長崎県は県産食材のブランド化に期待を寄せる。
 ザ・リッツ・カールトンは世界30カ国で102ホテルを経営。国内は大阪を含め4カ所にある。
 19日、プロモーションを記念したイベントが同ホテルであった。ホテル内のレストランと、長崎市丸山町の史跡料亭花月が料理を提供する一日限りのスペシャルコース。「おひれをどうぞ」の口上を皮切りに、次々と料理が振る舞われた。イサキのカルパッチョやからすみを使ったリゾット、豚の角煮といった品々に約30人の客は舌鼓を打ち、美しい盛り付けや香りに酔いしれた。
 料理を楽しんだ上田裕司副知事は「生産者の思いを引き出していただき、ありがたい」と感想を述べた。仕事で時々長崎を訪れるという奈良県の西本重人さん(60)は「長崎が水産県で、こんなにおいしいものがあるとは知らなかった。もっと食をPRしないともったいない」と話した。
 同ホテルと長崎県がタッグを組むのは初めて。長崎県大阪事務所によると、関西圏のホテルで長崎県の食材をPRする取り組みはこれまでもあった。同ホテルに対して県は以前から働き掛けていたが、本年度に入りホテル側から「水産物をはじめ長崎県の食材は豊富」として、プロモーション展開の打診があったという。
 長崎県物産ブランド推進課は7月、同ホテルのシェフを長崎県に招き、2泊3日で定置網漁の現場やからすみ店、野菜農園、養豚場など県内各地を案内した。アントニー・チューディン副総支配人は「長崎の素晴らしい食材とシェフのコラボレーションで記憶に残る料理を提供したい」と意気込む。
 同事務所によると、プロモーションに対する関西圏の料理人の反応は良好という。担当者は「同ホテルは食い倒れの町大阪の最高級ホテルで、料理人の憧れの存在。これをきっかけに長崎県産食材への注目度は高まると思う」と波及効果に期待をにじませる。同課は「県産品のブランド化を進め、単価と生産者の所得を上げていきたい」としている。

© 株式会社長崎新聞社