「白目になるのはどうですか?って提案しました」映画『黒い乙女A』主演・浅川梨奈インタビュー【前編】

8月16日(金)から佐藤佐吉監督・脚本の新感覚ジャパニーズホラー映画『黒い乙女Q』の解答編『黒い乙女A』が公開され、主演の芽衣役で出演。さらに9月6日(金)から公開される話題作映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』にも出演する女優・浅川梨奈。そんな女優として今飛躍を遂げている浅川梨奈にインタビュー。前編では『黒い乙女A』(8月16日(金)公開)について、たっぷりと語ってもらった。

-映画『黒い乙女Q』の解答編『黒い乙女A』が公開されましたが、あらためて今の心境を教えてください。

浅川梨奈(以下:浅川):『Q』の公開から約2ヶ月が経ち、果たして観てくださった方が『Q』の内容を覚えているのか不安な気持ちもありましたが、みなさんちゃんと覚えていてくれていました。『Q』のレンタルが開始されているので、復習をしてから劇場に足を運んでくださったり、『Q』を観ていないのに『A』を観てくださった方も多くて嬉しいです。個人的には途中記憶がないぐらい本当に撮影がハードだったので、完成したものをあらためて観て感激しました。無事に公開を迎えられて良かったなと思います。

-『黒い乙女Q/A』を観たみなさんの反応はどうでしたか?

浅川:「面白かった!」と言ってくれる方も多いですし、「思いのほか怖かった」「お化けじゃない怖さがある」という感想もいただきました。

-『黒い乙女A』の一番の見どころを教えてください。

浅川:やはりラストシーンですね。現場で台本が変わって、感情のもっていきかたや生まれてくるものが、台本の変更とともに変わったシーンでもありました。監督と北香那さんと3人で「ここはこうだと思う」「でもこうだよね」「じゃあこうしてみたら?」「こうかな」って色々話し合いをさせて頂きながら演じました。

-3人で話し合いながら作っていったシーンなんですね。

浅川:じゃんけんのシーンは台本だと3回で終わる予定だったのですが、私的に3回で終わるのがなんだかムズムズして。「もう少し長く続けたらどうなりますか?」と監督に相談したら「じゃあ、やってみよう!」「多い方がよかったね!」って採用されました。撮影をしていく中でお互いに感情が大きくなって生まれたものもあったので、最後のシーンは撮影自体も思い出深いです。

-見どころでもあり、一番思い出の残るシーンにもなったんですね。

浅川:そうなんです。しかもラストのシーンはクランクアップの日の朝一で撮影したんですよ。前日の夜休憩前にリハーサルして、何度も何度も話し合ってテストを繰り返して。翌日の朝7時くらいに撮影しました。最後にあのシーンでクランクアップできたのはすごく思い出深いですね。

-『A』でより恐怖感がパワーアップしたなと感じるシーンはどこですか?

浅川:作品を観た私の母の第一声は「一番最初が怖かった」。私の出てくるシーンじゃありませんでした(笑)「最初のシーンから観てられない」って、母と同じ感想は多くいただいきました。不快感まではいかないけど、ちょっと気持ちの悪い感じのパンチの強い恐怖感がありますね。あとラスト、写真がアップされて「ふっ」と言ったときにおたふくが立っているシーンですね。はじまりから恐怖を与え、最後も恐怖で終わり、もちろん途中も恐怖があるので、ところどころに印象深い恐怖を与えてくれる映画だと思います。

-佐藤佐吉監督から演技について「顔や目の動きをかなり色々と要求したのに使い分けてくれたのがすごかった」と絶賛でしたが、芽衣を演じる上で大変だったことはありますか?

浅川:少し間違えると芽衣ちゃんってやる気のない表情になるんです。ボーッとしている子に見えちゃうので、その中でも意思や感情をちゃんと目にのせられるように意識していました。なので監督からのお褒めの言葉は素直に嬉しいですね。

-実際に印象に残っている演技は?

浅川:ハサミを持ってラナちゃんに向かっていくシーンは監督から「怖い顔をして」と言われたので、「白目になるのはどうですか?」って笑いながら提案して実際にやってみたところ、監督も笑いながら「それ採用!」って(笑)昔からいつかスクリーンで特技でもある白目をやってみたかったし、その演技で「怖さが生まれた」って監督に言われたので嬉しかったです。

-演技の提案は監督に採用されるんですね!

浅川:採用してくださることが多かったです。監督から要求される演技にプラスして「こんなのどうですか?」「それとこれ組み合わせたらどうですか?」って提案させて頂いて、実際に演技してみて良ければ採用してくれていました。なので楽しかったです。現場で相手とお芝居をしていく中で、「こんなのやってみたいな、できそうだな」「どうしたら怖くなるかな、恐怖心を与えられるかな」ってどんどん生まれてくるんです。あと北さんがこんな演技をするなら私もこうして返そうとか。

-『黒い乙女Q/A』の思い出を教えてください。

浅川:この作品は撮影日数がとても短かったです。監督が脚本を書く時間も短く、全体的にタイトなスケジュールで進んでいたのでそこにまず驚きました。それからホラー映画なのに常に賑やかな撮影現場でした。一番疲れているはずのカメラマンさんがとても元気だったり。休憩中に家族4人と監督でカレーを食べながら色々お話しする時間があったり、基本家での撮影だったのでアットホームな撮影現場でとにかく楽しい現場でした。

-最後にまた佐藤佐吉監督とタッグを組むならどんな作品に出演されたいですか?

浅川:監督が次に脚本をされる作品が今回の『黒い乙女Q/A』に繋がっていたりしたら面白そうじゃないですか?自身で俳優もされて、脚本も監督もされて、本当にすごい方なので、またご一緒できたら嬉しいです。

主演映画『黒い乙女Q/A』について思いをたっぷりと語ってくれた浅川梨奈。後半では、映画『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』について、さらに“浅川梨奈”についてプライベートことも語った。お楽しみに。

Photographer:齊藤僚子

Text:伊東夕佳

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