<隠れた名盤> 彦と涼一座『お祭り野郎』 応援したくなるオーラの二人組

彦と涼一座『お祭り野郎』

 1988年生まれの蒼彦太と、1980年生まれの天野涼による演歌デュオのユニット。『竹島宏の歌MAX』という演歌・歌謡曲系のテレビ番組に週替わりで出演する二人名義では初のシングルだ。30歳を過ぎてもなおあどけない蒼彦太と、知的美男子でどこか翳りのある天野涼は、共に応援したくなるオーラを放っている。

 表題曲は、祭りをテーマとしたアップテンポのナンバー。二人の人柄の良さからか、「うかれて騒いで喧嘩して」や「泣かせる酔わせる惚れさせる」といった歌詞は無茶ぶりにも聞こえるが(苦笑)、それでも陽気な歌声から元気がもらえる。

 カップリングの『男の宴』は、背景画に大きな山が出てきそうな夢追いをテーマとしたミディアム調。2曲とも、通常カラオケの他、片方の声のみ残した「彦太とデュエットカラオケ」「涼とデュエットカラオケ」の両バージョンも収録されており、明るくて人懐こい歌声の蒼彦太と、安定感がありハモリも上手な天野涼の魅力が分かるのも聴きどころ。

 2曲とも初心者でも歌いやすい王道演歌だが、この二人の相性の良さや、本格ブレーク前の渇望した状況をより強く反映した楽曲も聴いてみたい。ともあれ、本作を聴けば小さな悩みでクヨクヨしなくなるはず。

(徳間ジャパンコミュニケーションズ・1204円+税)=臼井孝

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