江迎川氾濫 「逃げるのに必死」 佐世保 道路冠水、被害相次ぐ

増水した江迎川。午前11時20分ごろから約1時間半にわたり氾濫危険水位を超えた=27日午後1時46分、佐世保市江迎町

 激しい雨の影響で、佐世保市内を流れる江迎川は27日午前11時20分に氾濫危険水位に達し、江迎町の一部で氾濫した。佐世保市内では床上浸水や道路冠水、土砂崩れなどの被害が相次いだ。
 県県北振興局によると、江迎川は午前11時50分ごろをピークに午後0時半ごろまで氾濫危険水位に達した。江迎署によると、県道志方江迎線は午前11時半から冠水に伴い全面通行止めになった。江迎川では乗用車1台が流された。けが人はいないという。
 市立江迎中は午前10時20分ごろ、部活動に来ていた全ての生徒に帰宅を指示。しかし校門近くの道路が冠水したため、学校を出るのが遅れた生徒7人を校内に待機させた。正午すぎに消防団員に自宅近くまで送迎してもらい、全員が無事に帰宅した。
 江迎町で衣料品店を営む山口完二さん(58)は「店内は水浸し。服もぬれて、売り物にならない」とため息。「市には、氾濫しないように対策をしてほしい」と求めた。
 松浦鉄道(MR)は午後3時37分から全線で運休した。28日も始発から全線で運転を見合わせる。
 県によると27日午後7時現在、佐世保市内で78世帯158人が避難した。江迎町の農業、友野英樹さん(75)は「家の前の道路が水浸しになった。逃げるのに必死だった」と声を震わせた。
 佐世保市鹿町町では歌ケ浦浄水場が冠水し、稼働を停止した。町内の上歌ケ浦、下歌ケ浦、大屋の3地区の計615世帯に影響。市水道局は数日間は断水状態が続くとみており、臨時給水を実施した。
 臨時給水は▽鹿町地区公民館▽鹿町支所▽加勢公民館▽大加勢公民館▽大屋公民館▽市立歌浦小▽千鳥越野球場-の計7カ所で実施。28日も同じ7カ所で午前6時から給水を始める予定。臨時給水は2016年1月の大雪以来。同局は「復旧に全力を注ぐ。生活にかなりの影響が出ると思うが協力をお願いしたい」とした。

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