新幹線長崎ルート フル規格方針を確認 与党PT アセス費見送りも

フル規格での整備方針を確認した与党PT=衆院第2議員会館

 九州新幹線長崎ルートで未着工となっている新鳥栖-武雄温泉(佐賀県)を巡り、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)は27日、東京都内で会合を開き「フル規格が適当」とする基本方針を確認した。2020年度予算の概算要求に、着工に向けた手続きとなる環境影響評価(アセスメント)費の計上を見送ることも了承したが、今後の予算措置を目指して、フル規格に反対する佐賀県などと誠意を持って協議を重ねることを国に強く求めた。
 PTは、今月5日にフル規格での整備方針をまとめた与党検討委の上部組織。会合では検討委の山本幸三委員長が議論した結果を報告し、了承を得た。
 非公開であり、出席議員によると、アセス費の計上については賛否両論あったが、佐賀県に配慮して見送ることを決めた。終了後、PT座長で自民の岸田文雄政調会長は「今後、関係者間での協議の進捗(しんちょく)に応じて、臨機応変に柔軟な対応を取るよう国に求めた」と述べた。
 検討委は、今後国土交通省と長崎、佐賀両県、JR九州の4者による丁寧な協議の場を設置することを求めている。国交省はこうした場などを通して、アセスに着手できる環境が整えば、予算編成過程で必要額を確保したい考え。
 またPTは、長崎ルートのほか北陸、北海道の各路線の建設費増額を求める概算要求案も了承。増額要求は人件費高騰などで上振れした建設費に対応し、目標時期に確実に開業するための措置。19年度当初予算では792億円を計上しているが、概算要求では具体的な上積み額は示さない「事項要求」とし、年末の予算編成までに決定する。

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