誰かと衝突したら…「修復的対話」を スクールソーシャルワーカー草分け 山下さん 長崎県庁で講演

修復的対話について話す山下さん=長崎県庁

 学校現場で子どもの問題に対処するスクールソーシャルワーカー(SSW)の草分け的存在で、日本社会事業大名誉教授の山下英三郎さん(73)=長崎市出身=が25日、長崎県庁で「こじれた関係をどう修復するか」と題して講演。人と人が衝突したときに当事者間の対等な話し合いで関係構築を図ろうとする「修復的対話」の実践を呼び掛けた。
 山下さんは、学校現場でのいじめやけんかのトラブルに対する解決手段として修復的対話を紹介。これまでは第三者の大人が当事者を引き離し、責任を追及したり謝罪を強要したりするなどの「力ずくな解決」が図られてきたと指摘した。
 その上で「当事者それぞれに意見を述べる機会を与え、問題解決の過程に参加させることが必要だ」と強調。当事者が子ども同士の場合、大人が中立的立場で間に入り、被害者と加害者の双方向の対話を促しながら関係再構築をサポートしてほしいと訴えた。
 山下さんは1986年に埼玉県で日本初のSSWとして活動開始。現在、社会活動の研修を指導するNPO法人「コスモス村」を運営している。講演は、子どもの支援活動に取り組む市民団体「子どもの権利条約ながさきネット」が主催。約120人が聴講した。

© 株式会社長崎新聞社