【気象コラム】積乱雲に含まれる水って、どんだけー? 何と、お風呂にするとこんだけー

By 齊藤愛子

 ゲリラ豪雨や夕立をもたらす積乱雲。

 一つの大きな雲に見えますが、いくつもの積乱雲が群れをなしていて、水平方向の広がりは10キロ四方に及ぶものもあり、高さは10キロを超えることも。

東京・池袋のサンシャイン60から見た積乱雲

 そんな積乱雲ですが、どのくらいの水を含んでいるのでしょうか。

  積乱雲に含まれる液体の水の量は、1立方メートルあたり、およそ2グラムです。

 仮に水平方向10キロメートル✕10キロメートル✕高さ10キロメートルとすると、その体積は1,000,000,000,000立方メートル。

 この積乱雲が含む水の量は、

 2グラム✕1,000,000,000,000立方メートル=2,000,000,000,000グラム

=20億リットルです。

  比較のために、25メートルプールの水の量がどのくらいかといいますと、仮に横幅を12.5メートル、水深を1.35メートルとすると、

 25メートル✕12.5メートル✕1.35メートル=422立方メートル

=422000リットルです。

 つまり、

 20億リットル÷422000リットル=4739

となり、積乱雲ひとつには、25メートルプールの水、およそ4700杯分の水分が含まれていることになります。

 この水の量は、家庭用お風呂の浴槽でいうと1000万杯分、東京ドームでいうと1.6杯分に相当します。

  これだけの水分を含んでいる積乱雲ですから、雨として落ちる水も相当量です。

  局地的に非常に激しい雨や、竜巻が発生する恐れもあります。さらに、積乱雲は同じ場所で次々と発生することもあり、土砂災害や川の増水、道路の冠水、低地の浸水に注意が必要です。黒い雲が近づいてきた、雷の音が聞こえてきた、急に冷たい風が吹いてきたといった現象があった際には、安全な場所に避難するようにしましょう。

 (気象予報士・齊藤愛子)

© 一般社団法人共同通信社