熊本県、3・7億円債権放棄 千興ファームを支援

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再生計画を発表した千興ファームの社屋=28日、御船町

 熊本県は28日、熊本地震の影響などで経営が悪化した馬肉製品製造・販売の千興ファーム(御船町)の支援を目的に、同社に貸し付けていた中小企業高度化資金の貸付残高16億5千万円のうち約3億7千万円を債権放棄する方針を明らかにした。9月4日開会の県議会に財産の減額譲渡案を提出する。

 県商工振興金融課によると、同社は6月、官民ファンドの地域経済活性化支援機構などの支援を受けて経営再建を進める方針が決定。再生計画は、県内の金融機関などでつくる「熊本地震事業再生支援ファンド」に対し、高度化資金の貸付残高を12億8千万円に減額して譲渡するよう県に求めている。

 債権放棄分の財源は県分が9200万円、県と共同で融資する独立行政法人の中小企業基盤整備機構分が2億7400万円。

 県は同社の前身である協業組合時代に3回にわたって食肉加工施設の整備費などとして高度化資金計26億9400万円を貸し付けた。ところが2011年に起きたユッケ食中毒事件などのあおりで売上高が減少。熊本地震で畜舎や本社工場が被災し、2カ月間生産停止を余儀なくされたのも響いたという。

 県は債権放棄の方針について、中小機構や債権を持つ金融機関が計画に同意しており、仮に破産手続きになった場合の回収見込み額約8億円を上回る額を回収できると判断したため、と説明している。蒲島郁夫知事は同日の会見で、「熊本の馬食文化と(同社グループの従業員である)約300人の雇用を守らないといけない」と強調した。(高宗亮輔)