長崎県北部で崖崩れや浸水 交通機関は大幅に乱れ 「雨が怖い」眠れぬ夜

土砂崩れで寸断された市道=28日午前8時、長崎県松浦市今福町(松浦署提供)

 九州北部の猛烈な雨で「大雨特別警報」が発表された28日、長崎県内は北部を中心に崖崩れや浸水などの被害が相次ぎ、最大で約1万8千世帯3万9千人に避難指示が出された。鉄道や高速道路などの交通機関は大幅に乱れ、催しも一部中止となった。前線は30日にかけて対馬海峡付近に停滞する見込みで、長崎地方気象台は引き続き土砂災害などへの警戒を呼び掛けている。けが人は出ていない。
 長崎県内の特別警報の対象は▽平戸市▽松浦市▽佐世保市▽佐々町▽川棚町▽波佐見町▽小値賀町。同気象台によると、降り始めの26日午前0時から28日午後3時までの総降水量は平戸522ミリ、松浦445ミリ、佐世保市干尽町358ミリ。平戸は平年の8月の1カ月降水量の2倍超となった。
 長崎県災害警戒本部によると、28日午後8時半現在、佐世保市(江迎地区と早岐地区)と松浦市(上高野地区と下高野地区)の計1万8218世帯3万9234人に避難指示。そのほか▽佐世保市▽松浦市▽佐々町▽平戸市▽波佐見町▽小値賀町▽新上五島町▽東彼杵町の約13万世帯、約30万人に避難勧告が出された。
 午後8時半までの被害状況は床上浸水15件、床下浸水66件、道路被害12件、崖崩れ5件-など。
 JR九州は佐世保-博多の特急みどりを始発から全便運休するなどした。松浦鉄道(MR)は全線で運休し、29日も始発から全線で運行を見合わせる。高速道路も一部通行止めとなり、県営バスは長崎と九州各地を結ぶ高速バスを全便運休。空の便ではオリエンタルエアブリッジ(ORC)が天候不良のため長崎-対馬など計16便を欠航。また大村市内で開催予定だった県市長会議など各催しが中止となった。

 ■「雨が怖い」眠れぬ夜

 長崎県北地区では土砂崩れで道路が寸断されたり、中学校の体育館裏ののり面が崩落したりするなどの被害が相次いだ。
 松浦署などによると、松浦市今福町の市道沿いで土砂崩れが発生。道路が寸断され、民家1棟が一部損壊、倉庫2棟が全壊した。同市内の不老山でも崖崩れが発生した。
 平戸市教委などによると、市立中野中では、体育館裏ののり面が高さ20~30メートル、幅約60メートルにかけて崩落した。福野生人校長は「生徒がおらず、幸いだった」と胸をなで下ろした。
 県北振興局によると、佐世保市の早岐川は28日午前4時50分に氾濫危険水位に達し、直後に早岐地区の1万3723世帯に避難指示が出された。また27日から同市鹿町町の避難所で過ごしている60代の女性は「家の状態が気になって夜は眠れなかった。これから続く雨が怖い」と疲れ切った様子で話した。

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