石木ダム建設問題 公開討論求め署名5万筆 県外3万筆 市民団体が県に提出

浦瀬課長(右)に署名を手渡す実行委=長崎県庁

 石木ダム問題の啓発活動に取り組む市民団体「いしきをかえよう実行委」は28日、長崎県庁を訪れ、県に公開討論の場を求める署名約5万筆分を提出した。同実行委は2017年10月に街頭やホームページなどで署名活動を開始。県内から約2万筆、県外から約3万筆が寄せられた。

 この日は環境保護に積極的な米アウトドア衣料大手「パタゴニア」日本支社長の辻井隆行さんや、建設予定地の東彼川棚町川原地区の住民の日々を描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」の山田英治監督ら約10人が参加。長崎県河川課の浦瀬俊郎課長に署名を手渡した。

 浦瀬課長は「昨今の災害を考えると、行政の責任として事業を進めていかないといけない。公開討論はタイミングとして違う」とした上で、「事業の広報に力を入れていく」とした。母親と参加した県立佐世保西高3年の荒岡梨乃さん(17)は「人口が減っているのにどうして水源が必要なのか疑問。子どもたちにも分かりやすく教えてほしい」と要望した。

 実行委は同日、県庁で会見。山田監督は「石木ダム問題を知って切ない気持ちになった。多くの人に知ってもらおうと映像にした」、辻井さんは「建設推進派、反対派の溝が深まることは望んでいない。国連の『持続可能な開発目標(SDGs)』の理念を踏まえて対話すべき」と訴えた。

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