バレエ教育にダンス科学の知見を 早稲田大学・三浦准教授が研究進める

早稲田大学人間科学学術院の三浦哲都准教授が、バレエダンサーの職業病ともいわれる外反母趾に注目し、動作解析装置を用いてバレエのテクニックとの関係を研究している。科学的研究によってエビデンスを積み上げ、正しいバレエ教育のための科学的知見を指導現場に届ける狙い。現在、学術系クラウドファンディングサイト「academist(アカデミスト)」で研究費の支援を呼びかけている。

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ダンス科学者である三浦氏はこれまでに運動科学×認知科学の手法を用いて、ダンスのスキルを科学的に明らかにする研究を行ってきた。ダンス科学の知見は、より効率的なトレーニング方法の開発につながるだけでなく、リハビリテーション医療にも応用されている。パーキンソン病の治療にダンスが有効であることも明らかになっている。今回の研究では、バレエ歴10年以上の上級者では外反母趾の程度とターンアウトの角度は関係がなかったが、外反母趾の角度と骨盤から上の身体の傾きなどに相関関係を発見した。外反母趾による姿勢の変化は非常に小さいが、長時間同じ練習を繰り返すバレエダンサーにとっては致命的な怪我につながる可能性があるという。今後は、様々なレベルのバレエダンサーの運動を計測し、外反母趾とバレエのテクニックの関係をさらに詳細に調べる。このような知見を蓄積することで怪我をしない練習方法を開発し、日本バレエ教育者協会と連携して指導の現場に届けることを目指す。また、研究で得た成果は、国内専門誌のみならず国際専門誌に掲載することを目指し、積極的に世界に向けて発信する。参考:

【academist】科学的知見に基づく指導法をバレエの世界に届けたい

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