AM、FM人気パーソナリティが再び集結! 『第3回 ラジオナイトサミット』レポート【後編】

2019年8月24日(土)に静岡のSBSラジオでラジオについて議論する『第3回 ラジオナイトサミット』が、3時間に渡って放送されました。今回はその一部始終の後編をご紹介します!

SBSラジオ『テキトーナイト!!』の鬼頭里枝さん、ニッポン放送『ミューコミプラス』の吉田尚記アナウンサー、MBCラジオ『岩﨑弘志のてゲてゲハイスクール』『#てゲてゲハウス』の岩﨑弘志アナウンサー、FM802『Poppin'FLAG!!!』のDJ、板東さえかさん、AIR-G’(FM 北海道)『IMAREAL』『LEVANGA STATION』の森本優アナウンサー、全国のラジオに関するインタビュー取材や執筆をしているコラムニスト・やきそばかおるさんです。

前編はこちら

ローカルラジオ局だからやるべきこと

写真左奥より時計まわりに、鬼頭里枝さん、岩﨑弘志アナ、板東さえかさん、吉田尚記アナ、やきそばかおるさん、森本優アナ

後半は、ローカルラジオ局の役割に関する討論から始まりました。FM802といえば、大阪の人気ラジオ局で全国にファンが多い放送局ですが、FM802のDJ・板東さんによると、ローカルであることを大切にしているそうです。

板東さん:公共の電波に乗るという点では、標準語が必要とされていることは分かってるんですけど、関西弁(板東さんは大阪出身)で話すことで親しみをもっていただけたら嬉しいし、“距離”を作りたくない思いもあるので、関西弁を意識して喋っています。

鬼頭さん:『Poppin'FLAG!!!』も『てゲてゲハイスクール』も『IMAREAL』も地名や学校名を多く言ってますよね。地域密着性を感じます。

森本アナ:北海道は広くて、179の市町村があるので、自治体の名前を言うだけで「(この地域で)聞いてるのは、自分だけじゃないんだ」と一体感が生まれるのもローカルの魅力のひとつですね。

板東さん:確かに家の近所だと分かると嬉しいですよね!

岩﨑アナ:直接足を運んで打ち合わせをできるのも強みですよ。『てゲてゲハイスクール』ではこれまでに4回『てゲてゲハイスクール フェスティバル』というイベントを行なっています。前回は2日間で42校、600人の生徒が参加してくれて、直接顔を合わせて打ち合わせをするからこそ、信頼関係ができるというところがあります。ローカル局はずっと根を張ってくことが大事だと思いますね。

鬼頭さん:地味だけど大事! 『テキトーナイト!』も学生さんに街頭インタビューをすると、「先輩が番組に出ました!」と言われることもあって、ゼロをイチにするには、“牛歩作戦”のようなものは必要かも。

吉田アナ:ニッポン放送は東京のラジオ局だけど、『ミューコミプラス』に関しては“秋葉原のローカルラジオ局”だと思ってます。僕はアニメ、ゲーム、漫画、アイドルで育ってきたし、同じような人って、全国の学校のクラスに何人かはいると思うんです。むしろ、電波だから距離を超えてローカルになれるんです。“文化的なローカル”をやっているつもりです。

鬼頭さん:放送枠って限られてるけど、いろいろな人が、ジャンルを問わずに好きなことについて喋る放送が、いっぱいあったらいいですよね! リスナーからも「ラジオは縦にも横にもつながることができる、むしろ“これからのコンテンツ”かも」というメッセージが届きました。

放送では、5月に結婚した岩﨑アナをお祝いするサプライズ企画も行われました。 ※奥様はMBCラジオのディレクター。「こうちゃん」「りえちゃん」と呼びあっているそうで、プロポーズの言葉は「(時計を手渡して)同じ時を刻んでいきましょう」でした。

パーソナリティが「緊張しない方法」をアドバイス

『ラジオナイトサミット』恒例、静岡の美味しいものの紹介。今回は静岡県焼津市に本社を構える水産加工食品メーカー・シーラック株式会社の「バリ勝男クン。」。700万食の大ヒット商品。秘伝のタレとパリパリ感がたまらない一品で、出演者陣にも大好評でした。

中盤では、ラジオ(特にSBSラジオ『テキトーナイト!』)が好きで、番組を聴いて励まされているというリスナーと電話を繋ぎました。はじめはラジオの魅力の話をしていましたが、その方が就職活動をしていて「面接で緊張する」と困っていることが分かると、パーソナリティ陣による「緊張しない方法」のアドバイスが飛び出しました。

森本アナ:「自分が最強だ!」と、いい意味で思い込むことが大事! これは訓練が必要で、最初は自分が最強だと思っても、ちょっと自信をなくしちゃったりします。だけど、言い続けていたら、「俺、最強かも」と思える時がくるんです。今日は先輩方が多いからこんなことを言うのは恐縮ですが、今日も「自分は最強だ!」と思ってスタジオに入ってきました。僕は緊張するタイプだけど、緊張が解けました。だから「御社には私が必要です!」と言うくらいの気持ちでいいんじゃないかな。

吉田アナ:逆の方法もあります。みんな緊張を解く方法を考えるけど、緊張って絶対に解けないんです。緊張した時は「自分、緊張してる」って思うべきなんです。そうすると、100の緊張が90にはなるんです。あとの10が余裕になると、「失敗したのは緊張したからだ」って思えます。100の緊張で失敗すると頭が真っ白になって混乱します。ただ、最近はむしろ「自分が最弱で、何が悪いんだろう」って思ってます(笑)。

地震や災害が発生した時の放送は?

ニッポン放送、吉田尚記アナウンサー。東日本大震災が発生した時には避難所を取材しました。

最後のテーマは自然災害について。2018年9月6日(木)未明、北海道胆振地方中東部を震源とした「北海道胆振東部地震」が発生するとともに、ブラックアウトが起こりました。『IMAREAL』は予定を変更してリクエスト特集を実施。その点について、リスナーから「リクエスト特集にした経緯を知りたい」という質問が届きました。

森本アナ:スタッフと話し合って夕方には決めていました。夜になって“地震が起きた事”を伝えても、地震が起きたことは既にみんな知ってますからね。明日の給水所や、スマートフォンの充電ができる場所など、未来に向けた情報を発信すべきだと思ったんです。だから、その日に起きたことはほとんど言いませんでした。それって、ラジオだからできたことだと思います。また遡ること3ヶ月前、6月18日7時58分頃、大阪府北部を地震地として発生した地震がありました。

板東さん:地震発生後はミーティングもしましたし、FM局として音楽で元気を届けたいという点を大事にしました。私も自分の番組中に地震が発生した場合は、いつも通りの姿勢を心がけようと思いました。

やきそばさん:そうした時に、オンエアする曲の基準はありますか?

板東さん:日本語の歌詞だとメッセージが強すぎることがあるので、洋楽に委ねたり、歌詞のないインストルメンタルの曲をオンエアすることもあります。

森本アナ:北海道は民放(AM2局、FM2局)とNHKがあって、ラジオ局の数が多いので、リスナーが聴き分けているところがあります。AMは情報を送り続けて、FMは通常に近い放送をしているから、選んでいる人もいます。ラジオ局の方針は、リスナーにきちんと伝わっているんだと思います。

SBSのスタジオには、地震発生時用のアナウンスコメントが掲示されてあります。

また、緊急時の伝え方の話にもなりました。

岩﨑アナ:ニュースでは「東日本大震災を思い出してください」といった具合に、過去の記憶を思い浮かべてもらうような言い方もするようになりましたが、最近行われている研究では、「大津波警報」などの用語にピンとこない人や、そもそも東日本大震災をよく覚えていない世代もいます。一番しっくりとくるのは「今すぐ、逃げてください」、「命を守る行動をとってください」といった具合に緊迫感があるほうが効果があるともいわれています。だから、あまり専門用語に囚われるのもよくないのかもしれないと思います。「とにかく早く逃げること」と、体言止めで伝える手法も議論として上がっているという話もあります。

鬼頭さん:確かに、強い口調で言うこともありますね。

ただし、自然災害や凶悪な事件が発生した時は、SNSでは不確実な情報が飛び交ってしまうことがあります。

吉田アナ:放送局が伝える時は、必ずウラをとっています。アナウンサーが語尾に「思います」と言っていない場合は、取材をした上で話しています。

と伝えました。

『ラジオナイトサミット』友好番組 協定書

スタジオには全国のリスナーの皆さんから、たくさんのメッセージが寄せられました。(放送終了後に全員で全てのメッセージを読みました)。

メッセージを送っていただいたリスナーの都道府県をまとめたところ、47都道府県のうち、41都道府県から届いたことが分かりました! そのほか吉田アナがスタジオからVR配信を試みようとしたものの、部品を忘れてしまい、吉田アナのスタッフが急遽静岡の街に買い求めに行くということもありつつ、あっという間に、怒涛の3時間が過ぎていきました!

出演者プロフィール

【パーソナリティ】

■鬼頭里枝
静岡を中心にラジオ・テレビで活躍するフリーパーソナリティ。SBSラジオ『テキトーナイト!!』(毎週土曜日 20時〜22時)は、2009年開始以来、10代から”元10代”の人まで、幅広い層に支持されている人気番組。静岡県内の学校を訪問したり、リスナーから寄せられる相談に答えたりして、時にユルく、時に真剣な放送をお届けしている。2019年「第56回ギャラクシー賞でDJパーソナリティ賞を受賞。

■吉田尚記
ニッポン放送アナウンサー。漫画、アニメ、アイドル、落語など多彩なジャンルに精通。パーソナリティを務める『ミューコミプラス』(月曜日〜木曜日 24時〜24時53分)は、2019年8月29日(木)に放送2000回を迎える。2012年には「第49回ギャラクシー賞」でDJパーソナリティー賞を受賞。『没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術』(太田出版)、『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)ほか、著書も多数。

■岩﨑弘志
MBC南日本放送アナウンサー。35歳。MBC南日本放送『岩﨑弘志のてゲてゲハイスクール』(毎週日曜日 13時〜14時)、『#てゲてゲハウス』(毎週日曜日 15時〜16時50分)パーソナリティ。「てゲてゲハイスクール フェスティバル」は、大勢の高校生と一緒に作り上げる一大イベント。2019年5月にはNHK・民放ラジオ特別番組『今日は一日“民放ラジオ番組”三昧~#このラジオがヤバい~』に全国のラジオ局から選ばれ、後述のAIR-G’(FM 北海道)森本 優アナウンサー、CBCラジオ『ナガオカ×スクランブル』の永岡歩アナウンサーと出演。

■板東さえか
FM802『Poppin'FLAG!!!』(2017年10月スタート 毎週水曜日 25時〜28時)DJ。2013年、FM802 DJオーディションに合格。2014年4月『Ciao! MUSICA』、『RADIO∞INFINITY』でアシスタントデビュー。現在は数々のライブイベントのMCを務めるほか、『ROCK KIDS 802』内で放送している自身の母校の提供コーナー「大阪芸術MY REQUEST」ではアシスタントを務めている。

■森本優
AIR-G’(FM 北海道)アナウンサー。『IMAREAL』(2017年4月スタート 毎週金曜日 19時〜22時)、『ちょびREAL』(毎週金曜日 17時30分〜17時40分)、『LEVANGA STATION』(毎週土曜日 7時30〜8時)のパーソナリティを務めている。学生時代からラジオを聴いていて、投稿もしていたほどのラジオっ子。2019年5月にはNHK・民放ラジオ特別番組『今日は一日“民放ラジオ番組”三昧~#このラジオがヤバい~』に全国のラジオ局から選ばれ出演した。

【そのほか出演者】

■やきそばかおる
コラムニスト。全国のラジオ番組に詳しく、ラジオに関する連載やインタビュー取材、番組構成、配信記事、ラジオ番組出演など多岐に活躍中。全国の楽しい番組を紹介する「週刊 ラジオ情報センター」(水曜日もしくは木曜日 21時〜22時頃)を吉田尚記アナウンサー、シオンJr.、ライター・田中嘉人さんと生配信しており、これまでに紹介したラジオ番組の数は、のべ1000本にものぼる。

第3回ラジオナイトサミット

放送局:SBSラジオ

放送日時:2019年8月24日 土曜日 19時00分~22時00分

出演者:鬼頭里枝(SBSラジオ)、吉田尚記(ニッポン放送)、岩﨑弘志(MBCラジオ)、森本優(AIR-G')、板東さえか(FM802)、やきそばかおる(コラムニスト)

番組ホームページ

※放送情報は変更となる場合があります。

この記事を書いた人

やきそばかおる

小学5年生以来のラジオっ子。ライター・構成作家・コラムニスト。

「BRUTUS」「ケトル」などのラジオ特集の構成・インタビュー・執筆を担当するほか、radiko.jp、シナプス「I LOVE RADIO」(ビデオリサーチ社)/ J-WAVEコラム「やきそばかおるのEar!Ear!Ear!」/otoCoto「ラジオのかくし味」/水道橋博士のメルマ旬報など連載や、番組出演を通じて、ラジオ番組の楽しさを発信。

ラジコプレミアムを駆使しながら、全国のユニークな番組を紹介するツイキャス番組「ラジオ情報センター」(水曜21時〜22時)も放送。全てを合わせると、年間でのべ800本のラジオ番組を紹介している。

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