【MLB】前田健太に「シルバースラッガー賞」の期待 受賞すれば日本投手初

ドジャース・前田健太【写真:Getty Images】

安打数トップのグリンキーはDH制のあるア・リーグへ移籍

 ドジャースの前田健太投手は28日(日本時間29日)の敵地パドレス戦に先発。勝ち星はつかなかったが、5回2失点と試合をつくった。また、2回には逆転打となる2点タイムリーを放った。

 前田健太はこれが今季12安打目。これは投手の安打数としてはナショナル・リーグ2位タイとなる。

○MLB投手の安打数10傑。(日本時間29日時点)

※1 グリンキー(ダイヤモンドバックス)24試合 48打数 13安 3本 8点 打率.271
2 前田健太(ドジャース)29試合 46打数 12安 0本 6点 打率.261
3 ウッドラフ(ブルワーズ)23試合 45打数 12安 0本 4点 打率.267
4 デグロム(メッツ)25試合 50打数 11安 2本 6点 打率.220
5 マルケス(ロッキーズ)25試合 48打数 11安 0本 11点 打率.229
6 マッツ(メッツ)29試合 45打数 11安 1本 1点 打率.244
7 ウィーラー(メッツ)22試合 45打数 11安 1本 4点 打率.244
8 フライド(ブレーブス)32試合 46打数 10安 0本 3点 打率.217
8 ストラスバーグ(ナショナルズ)28試合 61打数 10安 1本 8点 打率.164
10 ブロールト(パイレーツ)25試合 31打数 9安 0本 1点 打率.290
10 スミス(マーリンズ)21試合 35打数 9安 0本 2点 打率.257

※グリンキーは、シーズン途中にアストロズへ移籍

 NPBでは「先発投手は打席では投手は休んでいろ」という投手コーチがいるくらいで、投手の打撃はあまり注目されない。だが、MLBでは特に指名打者のないナショナル・リーグは投手も打線の一員として、積極的に打っていくことが多い。打席数は少ないものの、立派な成績を残している投手がいる。

 この顔ぶれを見ると、投手としても一線級であることがわかる。当然の話だが、早い回で代打を送られるような先発投手は、打撃でも成績を残すことができない。打撃で一流の投手は、本職の投球でも一流であることが多いのだ。

過去10年の投手のシルバースラッガー賞受賞者は?

 MLBには「ベストナイン」というタイトルはない。守備位置ごとに、最も守備の評価が高かった選手には「ゴールドグラブ賞」、打撃の評価が高かった選手には「シルバースラッガー賞」が与えられる。いずれも記者投票だ。ナ・リーグは投手のシルバースラッガー賞も選考される。

○過去10年の投手のシルバースラッガー受賞者

2018 マルケス(ロッキーズ)31試合 60打数 18安 1本 5点 打率.300
2017 ウェインライト(カージナルス)24試合 42打数 11安 2本 11点 打率.262
2016 アリエッタ(カブス)27試合 65打数 17安 2本 7点 打率.262
2015 バムガーナー(ジャイアンツ)34試合 77打数 19安 5本 9点 打率.247
2014 バムガーナー(ジャイアンツ)31試合 66打数 17安 4本 15点 打率.258
2013 グリンキー(ドジャース)29試合 58打数 19安 0本 4点 打率.328
2012 ストラスバーグ(ナショナルズ)26試合 47打数 13安 1本 7点 打率.277
2011 ハドソン(ダイヤモンドバックス)32試合65打数 18安 1本 14点 打率.277
2010 ガヤード(ブルワーズ)32試合 63打数 16安 4本 10点 打率.254
2009 ザンブラーノ(カブス)33試合 69打数 15安 4本 11点 打率.217

 今季安打数10傑に名前を連ねている投手のうち、マルケス、グリンキー、ストラスバーグはシルバースラッガーを受賞したことがある“強打者”だ。前田は日本人初の「投手のシルバースラッガー」を受賞する可能性がある。安打、打点、打率ともに上位のグリンキーがDH制のあるア・リーグのアストロズにシーズン途中に移籍した。これ以上数字は増えない。

 その他の有力ライバルは、昨年のシルバースラッガー、マルケスだ。今のところ、前田はやや分が悪い。本塁打がほしいところだが、今後の打席で活躍すれば、十分に可能性はあるだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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