これでも立派な“縦走”です! 日帰りで行ける厳選おすすめコース【関東近郊】 みなさんは、「縦走」と聞いてどのようなイメージを思い浮かべますか? 大きなザックに重たい荷物を詰め込んで、何日もかけて山々を渡り歩く…そんな“上級者向けのもの”と敬遠してしまいがちですよね。でも、山から山を繋げばもうそれは縦走! 泊まりじゃなくても標高が高くなくても、手軽に縦走できるコースがたくさんあるんです。今回は関東近郊の、おすすめ低山縦走コースを厳選してご紹介します。まずは近場の低山から、気軽に縦走デビューしてみませんか?

『縦走』って、大変なんでしょ?

縦走とは、登山スタイルのひとつで尾根を伝って山々を歩くこと。つまり、山頂に立った後下山せずに次の山へ向かうことを指します。また、必ずしも山頂を踏まずに稜線(山の峰と峰を結んで1番高く連なる所)で結ばれた複数のピークをつないで踏破していくことも縦走、と言われています。

何と言っても、一度に複数のピークを踏めることが縦走のメリット! せっかく出かけたなら、そっちの方が何だかお得な気がしますよね。また、尾根や稜線を辿って次のピークを目指すので、振り返れば歩いてきた山々を眺めることができたり、開けた展望を楽しむことができるのも縦走の魅力です。

『縦走』って、どんなイメージ?

まず、「縦走」と聞くとどんなイメージをしますか? 上級者向け、重たい荷物を背負って何日もかけて山を歩く、とにかくハード…など辛くて初心者には挑戦しにくいイメージがありますよね。

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縦走と言えば、北アルプスの山々を宿泊しながら歩く「表銀座縦走コース」などが有名です。基本的には1泊2日以上の行程となり宿泊必須ですが、街中では体験できない満天の星空を眺めて過ごす山の夜はとっても魅力的!

…と言われても、やっぱり初級者にとって山の中に泊まる縦走はハードルが高いと感じてしまいますよね。

山と山をつなげば…それはもう縦走!

しかし、何も標高が高い山や宿泊必須な登山だけが縦走、と言うわけではありません。冒頭でも述べたように、山から山へとピークをつないで歩いたのならば、たとえ標高が低い山であってもそれは縦走と言えるのです!

実際に、大阪では毎年恒例で「日本最低山縦走大会」というものが行われています。これは日本一低い山とされる天保山(標高4.53m)から蘇鉄山(標高6.97m)までのコースを歩くイベント。つまり、縦走は標高の高さやハードさは関係なく、ピークをつなぐことであると言えるのです!

日本最低山縦走大会

身近な低山で縦走デビューしてみよう!

そうなると、意外と縦走のハードルはそんなに高くない気がしてきましたね。まずは、日帰りで手軽にいくつかのピークを踏める山で縦走デビューをしてみましょう!

コースタイム順!おすすめの『これも立派な縦走ルート』

浅間山〜権現山〜弘法山〜吾妻山(秦野)

コースタイム:2時間25分
距離:6.7km

(権現山からの眺め)

秦野駅から浅間山、権現山、弘法山、吾妻山と4つの山を縦走し鶴巻温泉駅へと抜けるコースです。桜の名所ですが、新緑や紅葉の季節も気持ちがよく、相模湾や大迫力の富士山を眺めながら自然を満喫することができます。一帯は弘法山公園として整備されているので、緩やかなアップダウンはあるものの非常に歩きやすく初心者でも安心して登山を楽しめます。下山後は、鶴巻温泉で登山の疲れを癒してから帰りましょう!

大高山~天覚山(奥武蔵)

コースタイム:3時間10分
距離:6.1km

(天覚山からの眺望)

奥武蔵の典型的な山とも言える大高山〜天覚山の縦走路は、ほぼ全コースが植林の中となります。樹林帯の中を歩くため眺望はあまり期待できませんが、夏でも涼しく、静けさに包まれた山歩きを楽しむことができます。吾野駅を出発し、まずは大高山のピークを踏んだら次に天覚山へと向かいます。天覚山の三角点の南側がわずかに開けており、コース唯一の展望である奥武蔵の山々を望むことができます。

長瀞アルプス(秩父)

コースタイム:3時間47分
距離:8.9km

(宝登山の蝋梅と秩父の街並み)

長瀞アルプスは、秩父の野上峠・奈良沢峠を経て宝登山頂に至るハイキングコースです。万福寺を起点に軽度のアップダウンが続く森の中を登ると、展望の開けた宝登山山頂へとたどり着きます。宝登山は蝋梅(ろうばい)の名所でもあり、早春の花の時期には秩父の山々の景色とともに蝋梅を楽しむことができます。他にも、梅、桜、紅葉など年間を通して豊かな植生が山を彩ります。なお、長瀞アルプスのコースは多くの私有林を通るため、しっかりとマナーを守ってハイキングを楽しみましょう。

高水三山(奥多摩)

コースタイム:4時間25分
距離:8.8km

(岩茸石山からの眺め)

高水山、岩茸石山、 惣岳山の3山を総称して高水三山と言います。軍畑駅を出発し高水山から展望の良い岩茸石山、惣岳山へと順にピークを踏んでいきます。一番標高が高い岩茸石山の山頂からは棒ノ折山や奥武蔵の山々が展望できます。どの山も標高800mにも満たない低山で高低差もあまりないので、稜線歩きの奥多摩縦走入門におすすめのコースです!

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御岳山~日の出山~金比羅山(奥多摩)

コースタイム:4時間40分
距離:14.8km

(御岳山山頂の武蔵御岳神社)

奥多摩のパワースポットとして人気の御岳山から日の出山を越え金比羅尾根を歩くコースです。ケーブルカーの滝本駅をスタートし、御岳山山頂に祀られた武蔵御岳神社でお参りしたら尾根道を歩いて日の出山へと向かいます。日の出山の大きく開けた山頂から関東平野を一望したら、フラットなトレイルの続く金比羅尾根をゴールの武蔵五日駅に向かって延々と下っていきます。全長14.8kmと歩きごたえたっぷりですが、アップダウンの少ない尾根道が続くため気持ちの良い登山を楽しむことができます。

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城山~幕山(箱根)

コースタイム:4時間55分
距離:10.2km

(幕山から真鶴半島の眺め)

幕山と城山の2つのピークを5時間程かけて歩くコースは、低山ながらも幕山から真鶴半島の絶景を堪能できるため人気があります。幕山から城山に向かう途中には、合戦に敗れた源頼朝が隠潜したと言われている巌窟・しとどの窟があるので要チェック。枯れることのない清水が滴るなんとも幻想的な雰囲気で、 「土肥椙山観音像群」と呼ばれる観音や石塔が立ち並ぶ様は一見の価値があります。

天覧山~日和田山~物見山(飯能)

コースタイム:5時間29分
距離:12.9km

(物見山からの眺め)

アニメ「ヤマノススメ」の舞台にもなった飯能の天覧山から奥武蔵自然歩道を経由して日和田山、物見山の3つのピークを踏むコース。富士山までも望むことのできる天覧山の眺望や、飯能河原のドレミファ橋、物見山からの巾着田の眺めなど、見どころ満載で飽きることなく歩くことができます。行程はやや長いですが、よく整備された登山道は歩きやすくファミリーや初心者におすすめですよ。

沼津アルプス(静岡)

コースタイム:5時間35分
距離:9km

(香貫山からの眺め)

沼津アルプスとは香貫山から南へ横山、徳倉山、志下山、小鷲頭山、鷲頭山、大平山と続く6山7峠をつなぐ山稜線を言います。一番高い鷲頭山でも392mと標高が低いながらも、コースの随所で富士山や駿河湾の海岸線を眺めることができます。中でも徳倉山の山頂は広く視界が開けていて富士山を眺めながらゆっくり休憩するのにおすすめです。志下山から小鷲頭山の間は起伏が激しく、鎖を伝って歩くところもあるのでしっかりとした登山装備でいきましょう。また、各峠にはエスケープルートもあるので、無理せずコースを設定できるのも魅力的です。

川苔山~赤杭山~三ノ戸山(奥多摩)

コースタイム:6時間10分
距離:13.2km

(川苔山から奥多摩の眺め)

鳩ノ巣駅を起点に杉ノ尾根を辿り川苔山へと向かいます。山頂からはるか遠くの東京都心を目にしたら、赤杭尾根(あかぐなおね)へと下っていきます。雑木林の中にある赤杭山山頂の手前は、大岳山や御前山などが見渡せる絶好の休憩ポイントです。気持ちのいい稜線歩きから、やがて古里駅まではひたすら樹林帯の中を歩きます。距離こそ長いですが、比較的なだらかな箇所が多く歩きやすいコースです。

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「低山だし大丈夫」はキケン!

ここまで紹介してきたルートは低山で初心者にもおすすめですが、注意しなくてはならない点もあります。山域一帯が公園のように整備されている弘法山のような山はスニーカーでも行けますが、それ以外はほとんどしっかりとした登山装備が必要です。また、有名な山に比べ登山道の整備が行き届いておらず、コースが藪におおわれてしまい道に迷ってしまう…といったケースもあります。「低山だから」といって油断せずに、しっかりと登山計画を立てて準備をしていくことがリスク回避のポイントです。

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魅力いっぱいの縦走を楽しもう!

縦走は登山上級者だけのアクティビティではありません。初心者でも楽しめる静かな樹林帯や眺めの良い尾根歩きなど、縦走の魅力が詰まったコースがたくさんあります。今回紹介した縦走コースはどれも日帰りOKで、アクセスも良く初めての縦走にぴったりです。是非参考にして、山の魅力を存分に堪能できる縦走に挑戦してみてください!

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