中国・四国は「みっちゃん大福」 酸味あるミカンを生かす

 「こんなのあるんだ!大賞2019」の中国・四国ブロック予選で1位に輝いたのは愛媛県の高校生が地域を盛り上げようと発案し、試作を積み重ねて完成した「みっちゃん大福」だ。「地域を元気にしたいという思いが伝わったのかな」と推薦した愛媛新聞社営業局の森川淑夫さん(46)は胸を張った。

みっちゃん大福

 「みっちゃん大福」をつくったのは愛媛県伊方町にある県立三崎高校の生徒ら。四国最西端の高校だ。15年4月に総合的な学習の授業で当時3年生の女子生徒9人が「スイーツを通じて三崎を知ってほしい」と考え、地元の老舗和菓子店「うにまんじゅうの田村菓子舗」に協力を依頼した。

 同校OBであり、依頼された田村義孝社長(42)は生徒の本気度を測るために一度は追い返したという。しかし、わずか5日で試作品を持ってきた生徒らの熱意に打たれ、協力を決意。生徒と共に試作を繰り返し、もうけを度外視して生徒のアイデアを尊重した。大福の皮に地元産のかんきつ・清見のジュースやデコポンの皮を使った生徒の試作品は、ジュースが滴ったり、デコポンの苦みが出たが、田村社長がアドバイスをし、解決。「生徒が本気だったので、こちらも本気で取り組んだ」

 度重なる試作の末完成した大福は「三崎」と「ミカン」の頭文字から「みっちゃん大福」と親しみを込めて命名。地元産の酸味のあるミカンを優しい甘さの白あんが包む。常温で食べてもおいしいが、凍らせて半解凍で食べるのもお薦めだ。あんの中にあるミカンのシャリシャリした食感が楽しい。

 森川さんは「小さな町だが、これをきっかけに伊方町の魅力を知ってもらい、さらに実際に足を運んでもらえれば。全国大会でもアピールしたい」と意気込んだ。

 (共同通信広島支局 高野和俊)

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