バレーボール男女日本代表監督・中垣内祐一&中田久美が激白。W杯の先にある東京五輪への挑戦

BSフジで2016年から年数回ペースで放送されている「アキレアの橋 ~2020遥かなる東京へ~」は、オリンピック・パラリンピックを目指すアスリートや関係者たちを長期間取材し、彼らの姿や言葉を伝えるヒューマンスポーツドキュメンタリー。これまで体操、バドミントン、柔道、車いすバスケットボールなどの障がい者スポーツ、2020年東京オリンピックの新競技である空手、サーフィンなどなど、さまざまな競技の選手を取り上げ、その奮闘ぶりや素顔、競技そのものの魅力に迫ってきた。また、「報われた努力と同様に、報われなかった努力も映像化する」という番組コンセプト通り、オリンピックを夢見ながら日本代表に手が届かなかった選手にもスポットを当ててきた。特にオリンピックメダリストの白井健三だけでなく、彼が所属していた日体大体操部に長期密着したシリーズは、興味深く感動的な内容だった。

番組プレゼンターは、五輪3連覇という偉業を達成した柔道家・野村忠宏。野村の体験取材や、アスリート、関係者との対談も見どころだ。世界の頂点を極めた彼だからこそ引き出せるアスリートの本音はもちろん、自身の体験談も、なるほどとうならされるものばかり。

9月1日(午後9:00)に放送される第28回は、「ニッポンバレー 伝説復活への挑戦」と題し、9月14日に開幕するワールドカップバレーに挑む、バレーボール男女日本代表の中垣内祐一、中田久美両監督をゲストに迎える。

ワールドカップは4年に一度行われるバレーボール世界3大大会の一つ。今回は女子大会が9月29日まで、男子大会が10月1~15日まで、日本各地で試合が実施される。15年の前回女子大会は中国が優勝し、2位はセルビア、3位はアメリカ。この3チームは翌年のリオデジャネイロオリンピックでも同順位でメダルを獲得した。一方、男子優勝のアメリカはリオで銅メダル、2位イタリアは銀メダル(金メダルはワールドカップ不参加のブラジル)。今回のワールドカップも、10カ月後に迫った東京オリンピックに向けて大きな意味を持つことになる。今回の上位国は、東京でもメダルを争う可能性が高いからだ。

そんな重要かつ日本中が注目する大会に臨む両監督に、野村は「今回のワールドカップの位置づけ」「注目してほしい選手」、さらに「そもそもなぜ代表監督を引き受けたのか」「大事にしている監督像」といった質問を投げかけ、両監督は真摯(しんし)に、率直に答えていく。少し考え込むことがあっても答えを濁さず、しっかり自分の意図を伝えようとする両監督から、常に選手たちの疑問に答え、的確に指示を出している姿が想像できた。

質問は多岐にわたり、現役時代にキャプテンを務め、戦力として欠かせない存在だった両監督が「キャプテンとして求められたこと」「自分たちのポジションに求められたこと」を語る場面も。中垣内監督がアメリカで指導者として修行していた時代の経験談や、コミュニケーションに関する考え方、中田監督のイタリア修行時代の思い出なども話題に。また、「プレッシャー」というテーマでは、野村が現役時代にいかにプレッシャーと向き合ってきたかを語る。どれも示唆に富んだ内容であり、耳を傾ける価値がある。

男女ともオリンピック金メダルに輝いた実績がある日本バレー。しかし近年は頂点から遠ざかり、女子は、12年ロンドンオリンピックで銅メダルを獲得したものの、リオデジャネイロオリンピックでは5位。男子は2大会連続でオリンピックの出場権を逃している状況だ。だからこそ、地元開催の東京オリンピックにかかる期待は大きい。その前哨戦として同じく大きな期待が寄せられる今回のワールドカップで、どの選手に、どのプレーに、そして監督采配のどこに注目すればいいのか。今回の番組を見ればよく分かるだろう。

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