片山さつき・地方創生相 長崎の強みをビジネスに 離島の農漁村体験支援へ

「地域の強み、特色を出してビジネスにつなげてほしい」と語る片山氏=長崎市内

 片山さつき地方創生担当相がこのほど、長崎市や佐世保市を訪れ、地方創生の取り組みを視察した。同氏に人口減少対策や離島振興策について聞いた。

 -長崎県の転出超過や県内就職率が改善されない。特に女性の転出が増えている。有効な対策は。

 UIJターン者の就職支援に最大100万円、創業支援に最大300万円を補助する国の施策をフル活用してほしい。そのためにはプラットフォームをつくり、マッチングすることが大事だ。長崎市に新幹線の駅ができる効果は大きい。機動性が高まり、博多と直結するオフィスができる。(駅に隣接してコンベンション施設もできるため)レジャー、展示など多彩なイベントができるのはいい。新都心ができる。(駅周辺再整備を)起爆剤に女性も就職したいと思う仕事を増やさないといけない。
 女性の仕事としては(自宅や共有オフィスで働く)テレワークに注目している。長崎市は県庁所在地だからいろんな形で転居してくる。その奥さん向けの仕事をつくると「長崎なら行ってもいい」となる。
 創業精神を養う人づくりにも取り組んでほしい。補助制度は多い。女性は起業が好きで、向いている。育児や子育てなど家庭のことがあり、親方になった方が時間の融通が利く。小さなビジネスでもいい。

 -長崎県は東京より福岡県への転出が多い。地方の大都市から地方都市へ人を誘導する施策は。

 福岡はすごい勢いで地方創生に取り組んでいる。地方創生はアイデア競争。長崎の強み、特色を出してビジネスにつなげてほしい。(新幹線開業で)博多は近くなる。デュアル(2拠点居住)の視点も大事だ。(福岡と長崎の)両方を楽しみながら副業で行き来する人が増えると強みになる。
 2拠点居住を決める判断材料として家庭を持っている場合は教育面が大きい。シニアの場合は医療拠点。長崎は海外と交流してきた歴史がある。(例えば)「英語教育が素晴らしい」というのは強みになる。日本で初めて西洋医学が伝わった伝統もある。山や離島が多いが、人工知能(AI)を使って遠隔医療システムのレベルを高めると、すごく強みになる。

 -国境離島への訪問者を増やすための優遇策は。

 (2月の)対馬訪問などを踏まえ、第2期「まち・ひと・しごと創生基本方針」(2020~24年度)に初めて有人国境離島や水源地域などについて、国土保全の観点を踏まえ、地域課題の解決に向けた取り組みを推進すると位置付けた。24年度までに全国の小学生65万人、中学生75万人、高校生30万人が農村漁村体験をする目標を掲げて支援する。対馬、壱岐、五島も訪問先に選ばれるようPRして、支援を受けてほしい。

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