カヌー男子で東京五輪切符・水本圭治(チョープロ) 人の心動かすレースを 成長を実感 心強かった応援

東京五輪への思いを語る水本(チョープロ)=長崎新聞社

 カヌー・スプリント男子カヤックフォア500メートルで東京五輪出場を決めた水本圭治(チョープロ)が30日、県庁やチョープロ本社がある西彼長与町、長崎新聞社を訪問。世界選手権(25日まで・ハンガリー)に日本代表の主力として臨み、アジア最上位の12位に入って五輪出場枠を獲得したことなどを報告した。2008年北京大会から、計4度目の挑戦で夢舞台への切符をつかんだ31歳に、現在の心境、本番への思いなどを聞いた。

 -4度目の五輪挑戦で夢をかなえた心境を。

 オリンピック選手になりたいと思い続けてここまで来たが、年齢も年齢なので挑戦は東京が最後のつもりでいた。一緒に日本代表チームで活動してきた同年代の五輪経験者、お世話になっている長崎の先輩オリンピアンの方々の仲間になれて本当にうれしい。

 -過去3度の挑戦と違った点は。

 今年から日本代表チームに新しい外国人コーチが就任して、練習内容が変わったのが大きい。前外国人コーチが身につけてくれた技術の基礎がさらに生きてきた感じ。

 -世界選手権のレース状況を。

 五輪出場を決めた10~18位決定戦は、日本にとって苦手意識のあった向かい風の中、中盤でしっかり漕いでラストも上げられた。欧州の強豪チームにも差を詰めることができた。今年に入って一気に成長できた実感がある。予選でチームベストタイムも出せた。

 -その世界選手権へは自信を持って臨めたような印象を受けるが。

 (代表を僅差で逃してきた)今までの経験があるせいで、昨年まではネガティブになっていた時もあったが、今年に入ってから(東京を目指すという)覚悟が生まれた。試合に前向きに臨めるようになってきた。

 -やはり「東京」という舞台は、これまでと違ったか。

 世界選手権の前に東京五輪のチケット販売の抽選発表があり、いろんな方から「チケット取ったよ」「当たった」という連絡が来た。これまでなら、プレッシャーに感じていたかもしれないが、今回はそれがポジティブに聞こえた。みんなが抽選に当たったってことは、自分が五輪に行くってことだと捉えられた。五輪が東京であるからというよりも、会社をはじめ、応援してくれる皆さんの存在が心強かった。

 -1年後、いよいよ夢舞台に立つ。どんなレースをしたいか。

 世界選手権は勝ち負けよりも、自分たちが持っている力で出る最高のタイムを出すことを心掛けて、得意なラストスパートでトップに迫っていくレースをした。それをインターネット中継で見た人から「感動した」という感想をいっぱいいただいて、レースで人の心を動かせるんだと実感できた。メダルを取ることが目標だが、見ている人たちを熱くするようなレースがしたい。

 【略歴】みずもと・けいじ 岩手県出身。不来方高で競技を始め、3年時の全国高校総体(インターハイ)で4冠を達成。2010年広州アジア大会スプリントカヤックペア200メートルで金メダルを獲得した。12年から県スポーツ専門員として長崎に移住。17年からチョープロに所属。176センチ、82キロ。

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