県庁跡地から初のキリシタン遺物 「花十字紋瓦」の破片が出土

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県庁跡地で見つかった最大幅約7センチ(右)と同約9センチの花十字紋瓦の破片。右の破片は花十字の意匠の一部が判別できる=県庁

 長崎県教委は30日、江戸時代の禁教令前にキリスト教の重要施設「岬の教会」があった長崎市江戸町の県庁跡地で、江戸初期のキリシタン建築に使われた「花十字紋瓦」の破片2点が出土したと発表した。岬の教会で使われていた物かは不明だが、同跡地でキリシタン関連の遺物が見つかるのは初めて。

 同跡地では禁教令により岬の教会が取り壊された後、江戸期は長崎奉行所西役所が置かれ、明治以降は4代にわたり県庁が所在。現在は旧県庁舎の解体工事中で今後、県が広場を、長崎市が文化芸術ホールを整備する方針を示している。

 県教委学芸文化課によると、破片は円形の中心部に十字の意匠が施された瓦の一部で、最大幅約7センチと同約9センチの2点。約7センチの破片は十字の一部や、十字の外側を囲む小さな丸い模様が判別できる。旧県庁舎本館が立っていた敷地北側の地点で、建物を取り除いた後の地表付近から見つかった。敷地内で、ほかに縄文土器やコンプラ瓶の破片など計数点も出土した。

 同跡地では過去に地下を掘り返して旧県庁舎などを建設しており、破片はそうした過程で地表付近に交じったとみられる。同課は「今後、予断を持たずに調査したい」としている。

 同跡地の文化的価値を訴えている「長崎県庁跡地遺構を考える会」共同代表の一人で、県考古学会の稲富裕和会長は「周辺にあった教会の瓦などとも考えられるが、発見されたことで今後の調査に対する期待感は高まった」と話した。

 県教委は解体完了後の10月から3カ月間の予定で、同跡地の遺跡の範囲や内容を確認し、開発前に本格的な発掘が必要かを判断するための調査に着手する。

 30日は学識者でつくる県文化財保護審議会が非公開で開かれ、県教委が敷地内の18カ所を試掘し調べる方針を報告した。

 ■ズーム/花十字紋瓦

 十字の四方の先端が花びら状に開いた「花十字」の意匠が施された瓦。江戸初期にかけて長崎の教会堂や関係施設で使われた。大量に見つかった長崎市のサント・ドミンゴ教会跡など同市各所や原城跡(南島原市)、大村市で2017年度までに約130点が出土。2010年に長崎県以外で初めて鹿児島市で出土が確認された。