日韓など6カ国・地域の芸術家交流 対馬でアートファンタジア開幕 多彩な現代美術34点

対馬の海岸で集めたプラスチックの漂着ごみを使って対馬の動物や島を表現した伊東敏光さんの作品「楽園-Flotsam Animals」=対馬市、旧久田小内院分校

 国内外の芸術家が国境の島、対馬で創作した作品を展示するイベント「アートファンタジア2019」(実行委主催)が8月31日、長崎県対馬市厳原町で開幕した。メイン会場の一つ、旧久田小内院分校では作家本人による解説があり、木造校舎のレトロな雰囲気の中、住民らが多彩な現代美術にふれた。展示は今月29日まで(火曜定休)。入場無料。

 同イベントは対馬に芸術家を招き、交流を図ろうと2011年から毎年開催。今回は日韓など計6カ国・地域の27人が対馬に滞在し、制作した計34点を町内6カ所で展示している。
 旧久田小内院分校には16人の計18点を展示。広島市の彫刻家・伊東敏光さん(60)の作品は、対馬各地で拾った色とりどりのプラスチックの漂着ごみを対馬の形に切り取った板に敷き詰め、周りをごみで作った動物で囲っている。
 韓国・釜山市の現代美術家、キム・ドキさん(39)は教室の一面に釣り糸やガラス球を配した空間芸術を披露。ガラス球の下には、成長や環境によって性別が変わるクロダイなどの海洋生物を擬人化して紹介した文章があり、読むことができる。キムさんは「文章を読むと、人間の生殖と違うので違和感があるだろうが(人間も含め)みんな海から生まれた子どもたちだ」と解説。「(日韓)両国関係は複雑だが、こうして芸術を通して交流できる機会があることがすばらしい」と話した。

キム・ドキさんの作品「Children of the sea」を鑑賞する来場者=対馬市、旧久田小内院分校

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