消費増税まで1カ月 キャッシュレス、ポイント還元… 長崎県内の中小店舗戸惑い

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キャッシュレス決済のマークが並ぶ店頭と複数税率に対応するレジ

 10月の消費税率8%から10%への引き上げまで残り1カ月となった。増税に合わせて始まるキャッシュレス決済のポイント還元制度への対応を巡り、長崎県内では現金支払いが中心の中小店舗などで戸惑いが広がる。複数税率に対応するレジの改修を支援する補助金の申請も全国平均を下回っている状況だ。

 「ポイント還元制度に参加しなければ、還元を受けられる他の店にお客が流れてしまい不利になる」。長崎市の「富士見町大場酒店」代表、大場信之さん(63)は価格に敏感な消費者の心理を踏まえ、制度への参加を決めた。

 ポイント還元制度は、中小事業者が経営する店舗で、クレジットカードやQRコードなどを使って支払った顧客に対し原則5%を還元する。実施期間は10月から来年6月まで。登録にはカード会社などの決済事業者を通じた手続きが必要で、本県は4229店が同制度への登録を申請している(8月21日時点、経済産業省調べ)。

 制度に参加した事業者は負担なしで決済端末を導入でき、決済事業者に支払う加盟店手数料の補助も受けられるなどメリットがある。だが現金支払いが中心の中小店には戸惑いや迷いがあるようだ。大場さんは「高齢化が進む中、キャッシュレス化が消費者の利便性向上につながるのか疑問」と不安ものぞかせる。

 長崎市中心部の工芸品店の経営者(63)も「手数料の負担も大きいのでキャッシュレス決済の導入は今のところ考えていない。来年の東京五輪に向けて観光客が増えることを考えると、導入した方がいいのかなとも思うが…」と迷いを見せた。

 事業者は、外食や酒類を除く飲食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率制度の開始に向け、複数税率に対応するレジの導入なども迫られる。国は、レジ1台当たり20万円を上限に、導入費用の原則4分の3を補助して支援する。

 九州経済産業局の担当者によると、補助金の申請件数は現在、全国で想定の約4割にとどまっている。本県は「全国より若干低く、申請の出遅れが目立つ」状況という。

 店内にイートインスペースがある長崎市中心部の菓子店も未対応のままだ。女性店主(65)は「持ち帰りは税率8%、店内飲食は10%となり複雑になるので、飲食スペースの撤去も検討している」。レジ導入を巡って、コストや事務作業の負担を慎重に見極めようとしている。

 九州経済産業局の担当者は、レジ購入の契約を9月末までに終えれば補助金が交付されることを挙げ「対象となる商品の取り扱いがないかを改めて確認してほしい」と呼び掛けている。