KAT-TUN LIVE 2019『IGNITE』深い沼へと誘い込む個性を生かしたソロ演出

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KAT-TUNの全国ツアー『KAT-TUN LIVE 2019 IGNITE』。グループとしての世界観がしっかり確立され、メンバーそれぞれがKAT-TUNとしての顔、ポジションを意識してパフォーマンスをするが、中盤のソロコーナーはまた別格。それぞれが一人舞台やソロ・コンサートを経験しており、自分がやりたいこと、チャレンジしたいことを形にする三者三様のパフォーマンスは、とっておきのオムニバス映画を見るようだ。

■中丸雄一ソロの帝王ダンスがすごい

歌って踊る中丸雄一は、『家事ヤロウ!!』や『シューイチ』、バラエティ番組などで見る普通っぽい、真面目でちょっとビビリの中丸ではなく、オーラをまとうアイドルでアーティスト。

ソロ曲『アブストラクト』の歌詞を書いたのは中丸(共作)。彼女に浮気をされ裏切られた男の心情を歌っているが、いろいろな解釈ができる、まさにアブストラクトな歌詞だ。自分の力でどうにもならないあきらめ、絶望、怒りと悲しみ、虚無感、それでもおそらく彼女を直接責めていない、突き放してはいない優しさが交錯する。

Jr.に囲まれてガシガシと踊り、レーザーを駆使する安定の中丸ソロ曲。センターステージに登場し、花道を通ってメインステージに移動し、正面モニターに映るもう一人の中丸を思わせる顔のアップ、影とリンクする。長い足を生かしたかっこいいダンスにライトなリズム、重い歌詞のギャップは妄想を引き起こす。「これが中丸の帝王感」「背中がゾクゾクする」「耳あたりは柔らかいのに歌詞が辛辣で不思議」「中丸の可能性は底知れない」と、心を奪われるファンの声が相次いだ。

■上田竜也ソロの心意気がすごい

上田竜也のソロ曲は『百花繚乱』。登場シーンでは、Jr.を鉄パイプで殴る(ふりをする)という、ここ数年のバイオレンスな演出から始まり、センターステージに移動、そこでファンとラップバトルをするという、これまでにない試み。会場にいるたくさんのファンから一人を選んでステージに上げるが、ファンサービスではなくガチ本気の闘いだ。初日は宇宙Sixの松本幸大、大阪では嵐の櫻井翔が上田にも内緒のサプライズで登場したことも話題になった。

有料サイト、Johnny‘s webのブログ『龍組』で「『百花繚乱』2コーラス目を完璧に歌える人1名をステージに上げる」と宣言していたが、本気と思っていなかった人も多いようだ。さらに、「純粋にラップバトルに参加したい、100%自信のある人だけかかってこい」「生半可は許さねえ」とハードルをあげた。挑戦したい人は挙手をして名乗り出るが、けっして多くはない。最初に選ばれた女性はひと言も歌えず「出直してこい!」と挑戦状を叩きつけられたが、以降は、かなり練習を積んだ挑戦者が現れ、レベルの高い闘いが続いた。

まるで、格闘技のリング上のような緊張感と盛り上がり。挑戦者が上手に歌えた時は、上田も嬉しそうに笑顔を見せ、会場のファンも歓声と温かい拍手でたたえた。ファンをステージに上げるのは危険が伴うが、上田がファンを信頼し、対等に扱っている距離感の現れではないだろうか。

■亀梨和也ソロの世界観がすごい

亀梨のソロ曲『CAN’T CRY』は、彼自身が尊敬するアーティスト、きのこ帝国のボーカル、佐藤千亜妃が作詞作曲し、歌のディレクションも行ったという。亀梨をイメージして書いたという詞は、ファンがイメージする亀梨像と重なる。本人も「引き出しが増えた」と語っているように、甘く優しい歌声、繊細なファルセットが新鮮だ。

毎回何かしら新しいことを試みる亀梨だが、演出は誰もが想像しなかった流れ。客席に突然スポットライトがあたり、そこに亀梨が現れ、ファンに囲まれて歌いながらスマホで自撮りする姿がモニターに映る。そして次の瞬間ホールを飛び出し、ホールの外の通路を自由に歩き、スケートボードにのり、Jr.とからんだり、開催地の美味しいものを食べたりしながら、楽しそうに解放的に飛び回る。そしてメインステージに登場し、透明な狭いガラスケースに入り自分自身を閉じ込め、トップスを脱いでライトダウンする。

アイドルである亀梨和也とリアルな素の亀梨くん、夢と現実、ちゃめっ気と孤独、明と暗を感じさせ、解釈は見る人にまかせる。亀梨だからこそ成り立つクリエイティブでドラマティックな演出に、生ならではの臨場感が加わる。「曲も演出も好きだけど、切なくて胸が苦しくなる」「泣ける」「スマホやインスタグラムが、彼氏感を錯覚させる」「前例のない立体的な演出」「想像をかきたてられる」と、『CAN’T CRY』の沼にはまるファンが続出している。

亀梨の衣装の英文字にかかれていた文字『to continue to ignite a fire』。自らが発火し続ける、ファンを燃え上がらせ続けるというメッセージか。一つひとつの美しい炎と、3つの炎がひとつになる強い炎は、これからも発火し続けるだろう。

〈ライター/佐藤ジェニー〉

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