遅い梅雨入り・明け 記録的猛暑と記録的大雨 夏の天候まとめ

6~8月の平均気温の平年差、降水量・日照時間の平年比(出典=気象庁HP)

 気象庁は2日、この夏(6月~8月までの3か月間)の天候のまとめを発表した。暖かい空気に覆われる時期が多かった北日本、沖縄・奄美と、7月末から8月前半に太平洋高気圧に覆われて厳しい暑さが続いた東日本では、夏の気温が高くなった。

 

 梅雨前線の北上が平年より遅かったため、梅雨明けは平年より遅れた地方が多く、8月後半は低気圧や前線の影響を受けやすくなった。西日本を中心にたびたび大雨となり、東日本の太平洋側と西日本は降水量が多く、日照時間が少なかった。沖縄・奄美も降水量がかなり多く、日照時間はかなり少なくなった。

梅雨入り 九州北部~近畿で記録的に遅い

 梅雨入りは、九州北部から近畿にかけてはかなり遅く、沖縄・奄美で遅かった。九州北部、四国、中国の梅雨入りは6月26日頃、近畿の梅雨入りは6月27日頃で、いずれも1951年の統計開始以降最も遅かった。一方、九州南部と東海~東北北部にかけては平年並みか早かった。

沖縄 最も遅い梅雨明け

 梅雨明けは、沖縄・奄美でかなり遅く、九州南部から関東甲信にかけて遅かった。沖縄の梅雨明けは7月10日頃で、1951年の統計開始以降最も遅かった。北陸、東北南部、東北北部は平年並み。梅雨の時期の降水量(6~7月、沖縄・奄美は5~6月)は、多い地方が多く、奄美、九州南部、東海、関東甲信の各地方ではかなり多かった。一方、東北北部では少なかった。

6月 沖縄・奄美で多雨

 梅雨前線や湿った空気の影響を受けやすかった沖縄・奄美は、降水量がかなり多かった。一方、西日本は前線の影響を受けにくかったため、降水量が少なく、東・西日本では日照時間が多くなった。27日~ 28日にかけては台風3号が本州南岸を通過し、その後は梅雨前線の活動が活発となり、東日本の日本海側や西日本の太平洋側を中心に大雨となった所があった。

2019年6~8月の気温経過(出典=気象庁報道発表資料)

7月 低温・日照不足

 オホーツク海高気圧からの冷たい空気が流れ込んだことや、梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多かったことから、東・西日本の気温は低く、東日本では7月としては12年ぶりの低温だった。また、梅雨前線が本州の南岸付近に停滞することが多かったことや、台風5号、6号の影響を受けて、東・西日本太平洋側の降水量はかなり多かった。18日~20日にかけて東シナ海を北上した台風5号、27日に三重県に上陸した台風6号の影響で、東・西日本の太平洋側の降水量はかなり多かった。なお、20日は長崎県の五島と対馬市で記録的な大雨となり、大雨特別警報が発表された。月の終わり頃は太平洋高気圧が強まり、多くの地点で真夏日となり、猛暑日となった所もあった。

8月 記録的猛暑 大雨特別警報も

 北~西日本は、月の前半は高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、6日頃と14日~16日にかけては台風の影響で西日本の太平洋側を中心に広い範囲で曇りや雨となった。月の後半は、東日本を中心に高気圧に覆われて晴れた日もあったが、低気圧や前線の影響でこの時期としては曇りや雨の日が多かった。28日には、対馬海峡付近の前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため、九州北部では記録的な大雨となり、佐賀県、福岡県、長崎県に大雨特別警報が発表された。

 

 気温は、月の前半を中心に晴れて厳しい暑さの日が多かった東日本ではかなり高く、暖かい空気に覆われやすかった沖縄・奄美では高かった。また、7月31日~8月13日にかけては、全国926地点中、猛暑日の地点数が100地点以上となった日が続いた。14日と15日は台風10号によるフェーン現象の影響で、日本海側を中心に気温が上がり、新潟県や山形県、石川県など6つの地点で日最高気温が40℃を超える厳しい暑さとなった。また、15日は日最低気温も新潟県を中心に記録的に高くなった地点があり、糸魚川(新潟県)では 31.3℃と全国の日最低気温の高い記録を更新するなど、8月は全国の108地点の観測所で、通年の日最低気温の高い記録を更新した(1位タイ含む)。

■3か月間降水量 多い方から1位を更新した地点

 久米島  1283.0ミリ(平年比227%)

■3か月間日照時間 少ない方からの1位を更新した主な地点

 沖永良部 544.1時間(平年比78%)

9月の1か月予報(平均気温)(出典=気象庁HP)

この先の天候

 最新の1か月予報によると、9月の北・東日本と沖縄・奄美は、暖かい空気に覆われやすく気温が高い見込み。特に、東日本太平洋側は、9月前半にかなり高くなる可能性がある。

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