『タロウのバカ』 少年の純粋さを自然体の芝居で好演

©株式会社全国新聞ネット

(C) 2019 映画「タロウのバカ」製作委員会

 映画『日日是好日』『さよなら渓谷』など、人の心情を繊細に描き続けてきた大森立嗣監督が長年温めてきたオリジナル脚本を映画化した渾身の作品です。

 現在40歳の私にもかつて17歳だった時代があり、同世代には山田孝之や小栗旬がいて、当時はすごい大型の若手俳優が登場!と言われていました。ドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」の菅田将暉、仲野大賀、そしてもう一人、300人以上のオーディションを経て選ばれたというモデルのYOSHI。3人の熱いエネルギーが爆発する映画です。令和の時代の若手俳優はすごいです!

 聞けばまだ撮影時は15歳だったという彼が演じる少年・タロウは、生まれてから一度も学校に行ったことがなく、戸籍もありません。YOSHIは、年齢もわからない不思議な出自を持つ少年の純粋さを自然体の芝居で好演。まるでドキュメンタリーを見ているような錯覚をさせてくれちゃうんだから、いやはやものすごい次世代が出てきたもんだと驚きました。

 荒削りなYOSHIの魅力を支える菅田のモノローグ、理性的なスギオを演じる仲野が纏う危うさ、そんなギリギリなアンバランスさがいい。3人の少年たちと無機質で冷酷な暴力の世界に引きずり込まれていきます。理性も道徳も愛も教えられていない子供はどんな行動を起こしていくのか。『さよなら渓谷』もそうでしたが、辛くて痛いのになぜかまた観たくなる不思議な感覚。観た後にいろんなことを考えさせられる作品でした。★★★★☆(森田真帆)

監督・脚本・編集:大森立嗣

出演:YOSHI、菅田将暉、仲野太賀

9月6日(金)から全国順次公開