暮らしを守る教訓、胆振東部地震から1年【1】

室蘭市民アンケート(上)

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 2018年(平成30年)9月に発生した胆振東部地震は、6日でちょうど1年を迎える。地震後、程なくして室蘭工業大学大学院工学研究科の有村幹治准教授と室蘭市が共同で、室蘭市民にアンケート調査を実施した。浮かんできたのは、大きな揺れを感じても、津波の襲来を考えた人は限定的だったという実態だった。市民が直面している課題や、地震を踏まえた各分野の取り組みなどを5回連載で報告する。


4割「津波」意識せず

 アンケートでは、市が設定した津波浸水予測区域内に住む市民の3割強が津波の発生を考えなかったり、考えても何も行動していなかったことが分かっている。これは実際に避難したり、避難準備した人の2倍に相当する点で見逃せない。

■最大の揺れ

 津波浸水予測区域内に住む市民(715人)のうち、32・9%が「(津波発生を)考えなかった」「(発生を考えたが)何も行動しなかった」と答えた。「(発生を考えたが情報を得るまで)様子を見た」との回答も47・3%に上り、実際に避難した人は4・5%にとどまった。市全体でみると、市民の約4割が津波を意識せず、避難した人は2・3%だった。

 胆振東部地震での室蘭の最大震度は「5弱」。1993年北海道南西沖地震の「4」を上回る大きな揺れだったが、津波の襲来を考えた人は少なかった。有村准教授は「結果的に津波は発生しませんでしたが、私自身は揺れた瞬間、津波があるかもしれないと考えた。縦揺れが長く震源も近かった。市民はこの事実を受け止める必要があった」と指摘する。

 津波を意識した人の割合を市内の町別でみると、イタンキ浜に面した東町地区が60%以上で突出して高く、中島・中央地区や半島部の先端、祝津地区でも高い傾向が出た。

■回答率高く

 アンケートは地震から間もない9月25日~10月12日に、18歳以上の住民基本台帳から無作為に5千世帯を抽出し郵送した。全体の43・7%に相当する2187人が回答した。発災直後に実施したため回答率は高く、自由記述欄には市民の本音が書き込まれた。

 「タイミングを逃せば忘れてしまう。記憶があるうちに実施する必要があると考えました」―。有村准教授は、防災講演や自主防災リーダー育成事業などで室蘭市の防災対策課と顔が見える関係にあり、地震から3日後にはアンケート調査の実施を決め動き出す。同年12月には単純集計の結果を市のホームページで公表し、その迅速さが評価された。
(野村英史)

(2019年9月3日掲載)