〔焼岳〕空振を伴う火山性地震が連続発生 噴火警戒レベルは1継続(9/3)

気象庁は、長野・岐阜県境の焼岳で空振を伴う火山性地震が発生したとして、3日09:05、「火山の状況に関する解説情報」を発表しました。
焼岳では、きのう2日23:03ときょう3日07:30、08:49に空振を伴う火山性地震を観測しました。なお、空振を伴う火山性地震が7月27日、28日、8月1日、10日、21日に観測されています。
山頂付近の噴気活動や地殻変動に現時点では活発化を示す変化は認められていませんが、今回も含めこれらの活動は、山頂付近の微小な地震活動が継続するなか発生していることから、今後の火山活動の推移に注意するよう呼びかけています。

気象庁では焼岳の噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)継続としていますが、火山活動が急変する可能性もあるとして、登山する際は、火山活動の異変に注意するとともに、山頂付近では突発的に火山ガス等が噴出する可能性があることから、噴気地帯にはとどまらず、活火山であることに留意し、ヘルメットを持参するなどの安全対策をするよう呼びかけています。

■焼岳
【概要】
・長野・岐阜県境の北アルプス(飛騨山脈)にある標高2455mの活火山で、平時でも活発な噴気活動が続いている。過去の噴火はほとんどが水蒸気噴火であり、最近では1962~63年(昭和37~38年)の噴火で長さ約500mの割れ目火口が生成され、多量の噴石や降灰があり、火口付近の山小屋で2人が負傷。噴火に伴って泥流の発生が多いことも特徴で、1915年(大正4年)の噴火で発生した泥流では梓川が堰き止められ、大正池が形成されている。

【近年の活動状況】
<2011年>
・03/31 噴火警戒レベル導入 1(平常→活火山であることに留意)

<2017年>
・08/10 9日23:50頃から空振を伴う地震を6回観測、北陸地方整備局の監視カメラで山頂西側約400m付近の山腹において白色の噴気を確認。
<2018年>
・11/22 09:00頃から山頂の北西1~2km付近を震源とする火山性地震が増加。浅部の火山活動の活発化を示す現象は認められず。
・12/04 20:00頃から山頂の東2km付近のやや深いところを震源とする地震活動が一時的に活発化、火山活動との直接の関係はないとみる。

<2019年>
・07/27 15:20~:24に空振を伴う低周波地震を3回観測。火山性地震は16:00までに7回観測。
・07/28 20:15に、空振を伴う低周波地震を観測。地震および空振の振幅は、27日観測より大きく。
・07/30 現地調査では、北峰付近の各噴気孔の噴気量や噴気温度に特段の変化は認められず。
・08/01 12:08に、空振を伴う低周波地震を2回観測。
・08/10 01:25に、空振を伴う低周波地震を1回観測。
・08/21 08:11に、空振を伴う火山性地震を1回観測。

◆用語解説(気象庁)
「火山性地震」
・火山体またはその周辺で発生する地震のこと。マグマの動きや熱水の活動等に関連して発生するものや、噴火に伴うものもある。火山によっては火山活動が活発化すると多く発生する傾向がある。

「低周波地震」
・低周波成分が卓越し、相対的に高周波成分が乏しい地震のこと。P波、S波の相が不明瞭なため震源を求められるのは少数。火山の周辺で発生する低周波地震としては、火口周辺の比較的浅い場所で発生するものと、火山体等の深い部分で発生するものとがある。

「空振」
・噴火、火砕流の流下、地震、津波、雪崩等によって周囲の空気が振動して衝撃波となって大気中に伝播する現象のこと。空振が通過する際に建物の窓や壁を揺らし、時には窓ガラスが破損することもある。火口から離れるに従って減速し音波となるが、瞬間的な低周波音であるため人間の耳で直接聞くことは難しい。

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