ガムを抜く日も近い?毎年100以上の新作が発売されるグミ、人気の理由

近年、スーパーやコンビニでお菓子売り場を見渡した時に、グミの種類の多さに驚いた人は少なくないのではないでしょうか?

実は今、グミ市場が活況です。市場は4年で4割近く伸長。なぜ、こんなにもグミが支持されているのでしょうか?その魅力について探りました。


グミ市場が拡大、一方で縮小するガム市場

カラフルで見た目にもかわいいグミ。片手でつまめる手軽さは、小腹が空いたときや気分転換にぴったりです。チャック付きのパッケージが多く保存ができるので、一度に食べ切らなくていいのも重宝する理由のひとつ。

市場調査会社のインテージによると、グミ市場はここ5年右肩上がりで、2018年度の市場規模は411億円。4年前の1.4倍に拡大しています。主な購入層は30~40代の女性。それに加えて30~40代男性の購入が、ここ最近増加しているといいます。

一方で、グミよりも約2.2倍の商品数が市場に出回っているものの、ここ5年縮小傾向に歯止めがかからないのが、チューインガム市場です。2018年の市場規模は520億円。4年前の7割にまで落ち込んでいます。

ガム市場が縮小している要因として、「一時期人気を博した“口臭を抑える”ガムや“虫歯防止”を謳うキシリトールガムの人気が落ちてきたこと。また、これらに代わるヒット商品が出現してこなかったことが考えられる」と同社は分析しています。

多様化するグミの商品ラインナップ

なぜ、グミ市場は拡大しているのでしょうか。日本グミ協会の武者慶佑会長によると、その理由のひとつとして「商品ラインナップの多様化」を挙げます。ゼラチンやペクチン、寒天などを原料にして製造されるグミは、色や形、味、弾力などを自由に加工することができるので、それが商品の多様化に繋がっているといいます。

たとえば、グミの食感ひとつをとっても、ハード系とソフト系に分類することができます。世界中で人気の『ハリボー』や、高弾力の『TOUGH』などはハード系、ロングセラーの『果汁グミ』や、弾けるようなリアルな食感が特徴の『コロロ』などはソフト系に分類されます。

また、従来の子供向けのグミのほか、コラーゲンやビタミンCが配合された美容系、2粒で1日に必要な11種類のビタミンが摂れる『グミサプリ』のような機能系、エナジードリンク味の『狩人めし』といった男性向けなど、ターゲットや目的別に様々な商品が誕生。『タピオカミルクティグミ』など、トレンドを取り入れたグミも登場しています。UHA味覚糖のマーケティング部・西田優子さんによると、グミの商品数は「20年前に比べて約3倍、10年前に比べて約1.6倍に増えている」といいます。

多種多様なフレーバーや食感のグミが展開されることで、細かいニーズに対応した自分好みの商品を選ぶことができるようになり、子供や女性はもちろん、男性もグミを手に取りやすくなっているようです。

「女性の小腹満たし」が起爆剤に

こうしたグミの細分化が促進されるようになったのは、「コンビニ隆盛の1990年代後半から2000年代前半頃、『ピュレグミ』が発売されたあたり」だと武者さんは考察します。

それまで子供向けのお菓子だったグミが、“女性の小腹満たし”として広く認知されるようになったことがきっかけだといいます。それに伴い、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、駅ナカなど販売チャネルが拡大。グミ市場の拡大を後押ししました。

さらに、グミの人気を牽引しているのが「SNS映え」だと武者さん。「グミは、その自由な形状と色合い、パッケージの可愛さなどから、SNSとの相性がよく、“SNSでシェアできるお菓子”として拡大していきました。それが結果として、グミ市場の拡大につながっているのではないでしょうか」。

多様化する消費者のニーズにマッチしたグミ。西田さんによると「毎年100種類以上の新作グミが発売されている」といいます。変幻自在のグミが、ガムの市場を抜く日はそう遠くないのかもしれません。

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