岡崎琢磨 「下北沢インディーズ」 - 下北沢を舞台にした青春バンド小説! ...ではなく、ミステリー!?

下北沢を舞台にした青春バンド小説! …ではなく、ミステリー!?

音楽雑誌の編集者・音無多摩子が主人公。新人にも関わらず、インディーズバンドを特集する新連載を任され、ライブハウスへ足を運んだり、バンドのメンバーへ取材をしたり、メジャーまでの道のりを追う青春小説なんだな、と思っていたが…ミステリー小説である! 素っ頓狂な事件ではなく、壊されたデジタルディレイや、元カレの今カノの浮気疑惑!?、スタジオから盗まれたベース、ライブ中にドラマーが怒り出した理由、アカウントを乗っ取られたバンドの解散危機など筆者がもともとバンド活動をしていたからこそ描けるバンド内事情や音楽、ライブハウスと関連する事件が起きていく。

バンドや音楽を知らなくてもミステリー小説として、ミステリーが苦手な方は青春小説、主人公の仕事に対する真っ直ぐさはお仕事小説として、様々な視点で読めるのが本作品ならではの面白さでもある。

レジェンドのような店主がいるライブハウスがあったら行ってみたい、な。(阿佐ヶ谷ロフトA:おくはらしおり)

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