ベンチ、屋根 設置少なく バス待ち環境、改善を 少子高齢化、高まる需要

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NPO法人によって、きれいに塗り替えられたバス停の屋根とベンチ=土浦市下高津

ベンチ付き5%、屋根付き11%-。国土交通省による関東エリアの「バス待ち環境」の調査結果(2017年)だ。少子高齢化が進み、車の運転が困難な高齢者や学校統廃合で遠距離バス通学となった子どもの移動手段として、公共交通の重要性が高まる中、バス停の環境整備は十分とは言い難い。地元自治体やバス事業者、住民、企業が連携し、路線の維持とともに利用者に優しいバス待ち環境への改善が必要だ。(報道部・三次豪)

■少しでも楽に

「高齢者は待つだけでも大変。少しでも楽で、気持ち良い環境にしたい。みんな年を取るでしょ」。NPO法人「まちづくり活性化土浦」(大山直樹理事長)の事務局長、小林まゆみさん(59)は声を強めた。

コミュニティバスを運行する同法人は17年、廃止となった路線バスの一部の路線とバス停を引き継いだ。高齢者が多く利用する「霞ケ浦医療センター」バス停(土浦市下高津)もその一つ。当時は「屋根もベンチもさび付いていた」と小林さん。同法人と賛同した市民で費用を負担し、屋根は修繕して明るい青と白色で塗装。ぼろぼろのベンチも塗り直し、周辺の草を刈って花を植えた。

市民が連携したバス待ち環境の整備は他のバス停にも広がった。ベンチのなかった商店街のバス停では、「お年寄りが長時間立って待っていたり、しゃがみこんでいる姿を見ていられない」と金物屋の店主がベンチを自作して店先に置き、近所の病院は院内で使っていたソファを提供した。

■創意工夫の事例集

国交省関東運輸局は8月、バス待ち環境整備の先進・好事例をまとめた事例集を発表した。創意工夫が特に参考となる32事例を紹介し、さらに追加66事例をホームページで紹介。「まちづくり活性化土浦」の事例も掲載されている。

茨城県では桜川市真壁町酒寄の「旧酒寄駅跡」バス停も掲載。市民から公共交通の整備にと市に100万円の寄付があり、屋根付き待合所とベンチ整備に充てられた。市企画課によると、同バス停の利用者は小学校の統廃合によってバス通学を余儀なくされた地元の児童らが大半。整備前は雨にぬれてバスを待つ児童もいたが、今はそうした姿は見られなくなったという。

他県の例を見ても、バス待合所の登録制度を導入して沿道の商業施設などを快適な待合所として確保したり、広告収入をバス停の維持管理費に充てるビジネスモデルを採用する事業者も増えつつある。

■制約乗り越え

関東の主要バス会社に対し、同運輸局が17年12月に実施したアンケートの結果によると、要配慮者の利用が多い病院周辺ですら、回答した66社の約半数がバス停の整備を「不足」「やや不足」と回答した。屋根やベンチなどの設置率は事業者によってばらつきが目立ち、特に公営と民間でははっきりとした差があった。

同整備局は「公営事業者の整備率が概して高く、民間バス事業者の営業エリアを含めた全体の底上げが課題」と分析する。

道路幅など周辺環境との兼ね合いから、どこでもバス待ち施設の整備が可能とは限らない。それでも、市町村やバス事業者が地域住民や沿線企業などを巻き込みながら、財政的、制度的な制約を乗り越え、より良いバス待ち環境を整備していくことがこれからの時代に求められる。