個人投資家はどのようにして銘柄を選ぶのか?

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先月は株式投資をメインとしている個人投資家の集いに参加させてもらう機会が多くありました。 東京・名古屋・大阪と周るなかで、偶然だとは思いますが、個人投資家が銘柄を選ぶ際に重視しているものが地方ごとにきれいに分かれていて、非常に興味深かったのです。

3地域でそれぞれが重視してた点と、一方でどこも共通して大切にしていた点。今回はこちらを例に4つのポイントについて共有していこうと思います。


企業の財務情報をベースに考える

東京では企業の財務情報をベースに考えている個人投資家が多かった印象です。企業の財務情報は主に企業の財務諸表から情報を得ることになります。上場企業であれば、各社のHPから財務諸表は確認できるため、貸借対照表や損益対照表を基に、その企業の売上高や利益の成長率、コストの増減などを確認していきます。また、株価を財務情報と一緒に分析し、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、配当利回りなども同時に判断材料としていました。

財務諸表以外にも、上場企業のホームページには有価証券報告書や決算説明会資料なども掲載されていることが多く、財務諸表に載っている企業業績以外の数字も分析に活用している人もいます。財務諸表には載っていない店舗数などの細かいデータを財務諸表上の売上高や利益と混ぜ合わせて計算することで、1店舗あたりの売上高なども分かるため、決算説明会で経営陣から発表される今後の出店計画などを聞けば、将来的な売上の伸びが計算可能になります。

かなり時間をかけて企業の業績を分析しているので、どのように分析する銘柄を選定しているのかを尋ねたところ、主に四季報やマネー雑誌を読みながら、気になった企業の業績を深掘りしていくスタイルが主流でした。

チャートを重視し、テクニカル分析をする

つぎに、名古屋ではテクニカル分析を重視している個人投資家に多く会いました。テクニカル分析とは、株価チャートを見ながら、パターンやトレンドを見つけ、投資のタイミングや投資方針を決める手法になります。

実際に過去の投資を検証するために、投資した銘柄のチャートを紙に印刷し、どうしてこのタイミングで買ったのか。どうして、このタイミングで損切りをしたのかなど、実際の例を基に解説をしてもらいました。

多くの個人投資家がチャートを見て大まかなトレンドを把握しつつ、直近の特徴的な安値や高値を意識していました。明確な理由をもって売買をしているため、実際どうであれ、売買当時のシナリオが結果に対して正しかったのか、間違っていたのであれば何が要因だったのかが検証しやすいそうです。

ちなみに、誤解のないようにいうと、当然彼らも企業の業績や各種株価指標などは見ています。しかし、あくまで参考情報としてみており、売買のタイミングやシナリオの多くはテクニカル分析の結果からということです。

製品やサービスから発想を膨らませる

大阪では非常に投資歴の長い個人投資家も多く、彼らは投資している企業の製品や提供しているサービスについて詳細に分析をし、そこで得た成長シナリオに対して、現在の株価や業績がどうか、という視点で銘柄を選定していました。

たとえば、A社は昔からある企業。しかし、新たに同業界に出てきたB社は最新の技術を駆使して、A社が手動でやってきたことを自動化しています。ただ、手動の方が品質は高いものの、B社の自動化による成果物の品質もかなり高くなっているとします。

これだけを聞くと明らかにA社よりB社に投資をした方がいいように感じます。しかし、株式市場ではそのような状況はすぐに織り込まれていくため、既に市場でのB社の評価はA社の5倍以上高くなっているとします。

こうなると、製品やサービスの品質や利益率に対して、現在の株価がどうかということを考える必要があります。

予測される将来の成長スピードからみて、現在の株価は整合性があるか、自分たちが考える評価やシナリオと現在の株式市場での評価が一致しているか、乖離しているかなどを議論していました。

実体験に基づく感覚や哲学が重要

それぞれのスタイルに触れることができたのですが、一方で重視していたのは同じことでした。それは、最終的には自身の感覚や、これまでの経験によって確立された投資哲学です。さまざまな銘柄選択手法があり、分析手法も十人十色です。しかし、最終的には自分の感覚や哲学に基づいて投資判断をしているのはみんな同じでした。

それぞれの地域で、「投資に興味はあるけど、何から勉強すればいいかわからない」投資未経験者へのアドバイスを求めたところ、「まずは少額でいいから始めてみることが大事」という意見がほとんどを占めていました。

いまでこそ、証券会社や運用会社のアナリストと変わらない、またはそれ以上の知識や分析手法を持つ個人投資家達も、最初は何もわからないまま投資を始め、相場の荒波にもまれながら、何度も失敗しつつ、検証と勉強を繰り返して今に至っていることも共通点だったように感じます。

このように、投資歴が長くなるにつれて、自身の感覚や哲学が確立されていくので、重要なのは投資の世界から退場しないことなんだな、と改めて実感しました。そのためには、過度なリスクを取るのではなく、うまくリスクを分散させ、知識と経験によって更にリスクを低減させることが重要なのだと思います。