オリジナル・サウンドトラック『ロケットマン』 エルトンの音楽の深さが光る

オリジナル・サウンドトラック『ロケットマン』

 昨年に続いて今年も『イエスタデイ』『キャッツ』など音楽映画が話題になりそうですが、これはその火付け役といえる『ロケットマン』のサントラ盤です。天才シンガー・ソングライター、エルトン・ジョンの幼少期から下積み時代、70年代の成功と名声、その代償としてのドラッグ&アルコール中毒、同性愛と孤独。映画は80年代彼がカムバックに至るまでの半生を綴ります。カタルシスに満ちた『ボヘミアン・ラプソディ』に比べると爽快さには劣りますが逆に光るのが彼の音楽の深さです。エルトンを演じるタロン・エガートン自らの歌唱による名曲たちは映画の中の“エルトン”をよりリアルに表現しています。盟友の作詞家バーニー・トーピンの詞からあの「ユア・ソング」が出来あがっていく様子、全米No.1ヒットになった「クロコダイル・ロック」をLAのトルバドールで初披露するシーンで聴衆に魔法をかけてしまうサウンドなどにはオリジナルにない魅力がみちています。音楽監督はジャイルズ・マーティンです。

(ユニバーサル・2500円+税)=北澤孝

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