胆振東部地震から1年【上】

被災地・むかわ

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 厚真、安平、むかわの東胆振3町に甚大な被害をもたらし、「ブラックアウト」(全域停電)が生じた胆振東部地震から6日で1年。被災地では復興が進む半面、仮設住宅暮らしを続ける被災者も多く、地震の爪痕は根深い。被災地の今を取材した。全3回。


道の駅大改修、悩みも

 地震から1年、むかわ町の目抜き通りでは倒壊した商店を取り壊し、仮店舗での営業を継続している店もある。復興の力強さを感じる一方、一部町道は今も通行止めが続く。影響は食品加工施設や野生動物にも根強く残っている。

●町外から客

「地震はシカにも影響をもたらしたのでは」と語る本川代表

 狩猟シカ肉の卸売・加工品販売を行う「むかわのジビエ」の本川哲代代表は地震以降、シカに変化が出たと語る。「取引先から『肉の味が変わった』と言われました。シカも地震が怖かったのかもしれません」。骨髄に通常はない血のような赤い部分が混じる個体もあった。冬の期間も餌場で食事をしている様子が見られなかったという。この一年、応援の意味も込め、むかわ町までシカ肉を買いに来てくれる人もいたが、人手が足りず、出荷できなかった。本川代表は「私が奪ったシカの命を無駄にしないためにも、非常用発電装置付きの冷蔵庫、冷凍庫を導入します」と話した。

●繁忙期控え

シシャモや地場産野菜などのほか、町内で唯一「むかわのジビエ」のシカ肉を取り扱っているぽぽんた市場

 シシャモ販売大手のカネダイ大野商店(大野秀貴代表取締役)も人手不足が深刻だ。主力商品「生干しししゃも」は、串にシシャモを刺していく作業が手作業のため多くの人手が必要だが、これまで作業に従事していた女性職員4、5人が被災、一人暮らしが不安で家族の元に引っ越してしまったという。大野代表は「地震以降多くの方に来ていただき『来年も来るよ』と声を掛けていただいた。10月の繁忙期に向け、スタッフ不足を解消しなければ」と表情を引き締めた。

 道の駅「むかわ四季の館」は多くの土産物が並ぶ人気施設。温泉も町民の湯として好評だ。地震以降に職員が考案したキャラクター「WARUI SHISHAMO」グッズも認知度が高まり、売り上げを伸ばしている。ソフトクリームにシシャモしょうゆを掛け、珍味シシャモを刺してある「シシャモしょう油ソフト」は見た目のインパクトもあって人気だ。9月から温水プールの機械改修とイベントホールの改装に入り、一連の大規模改修を終える。しかし、地震の影響で生じた亀裂で雨漏りが発生するなど悩みは尽きない。
(北川誠)

(2019年9月4日掲載)