北方領土問題~ロシアがここへ来て日本に強気なワケ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月4日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。5日に予定されている安倍総理とプーチン大統領の会談の報道を受け、ロシアと日本の北方領土問題の現状について解説した。

20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット) ロシアのプーチン大統領(左)を出迎える安倍晋三首相=2019年6月28日午前、大阪府大阪市住之江区 写真提供:産経新聞社

安倍総理がロシアを訪問、5日プーチン大統領と会談

安倍総理大臣は4日、ロシア極東地域への投資促進をはかる国際会議、東方経済フォーラムに参加するためウラジオストクを訪れる。5日にはプーチン大統領との会談も予定されており、日露平和条約締結に向けた交渉に注目が集まる。

飯田)プーチン大統領との会談は、6月のG20大阪以来ということになります。

佐々木)だんだんロシア側が強行になっている感じがありますよね。少し前までは、北方4島は無理でも2島は返還されるのかなという印象だったのが、風向きが変わって来た。これはロシア側の余裕なのではないでしょうか。ウクライナ問題でクリミア併合などの経済制裁を受けて孤立していたとき、あの状況で話し合いに応じてくれるのは日本くらいしかいないので、ロシアにとっては日本が頼みの綱という雰囲気でした。それが、トランプ大統領がヨーロッパから撤退してEU、NATOと対立のような状況になっている。フランスであったG7の前に、フランスのマクロン大統領がプーチン大統領と会談しましたが、そのときマクロン大統領は「ロシアはヨーロッパである。ヨーロッパはリスボン、ポルトガルからウラジオストクまで」と言って、ロシアを受け入れようとした。なぜそんなことを言ったかというと、トランプ大統領は当てにならないし、敵対しつつある状況なので、ここはロシアと仲よくしておくしかないからです。ロシアとヨーロッパが仲よくなり、さらに経済的結びつきでは中国と仲よくなっている。先日も中国とロシアは、竹島の上空を相次いで領空侵犯したではないですか。そうするとアメリカ対中露という状況になり、ヨーロッパが中露に寄って来ている。その状況になれば、プーチン大統領としては余裕綽々ですよね。しかもそこで日本が韓国と対立して、東アジアで日本が孤立している状況になって来た。立場は以前と逆になって、日本が孤立しているところにロシアが手を差し伸べることになりかねません。そんな状況だと、「北方領土の話はあとでいい」となるでしょうね。

ロシア軍機の「領空」侵犯事件を報じる24日付の韓国紙=2019年7月24日 写真提供:時事通信

大陸国家VS海洋国家の構図が再び

飯田)大陸国家と海洋国家が、くっきり分かれつつあるということですかね。

佐々木)アメリカ、イギリス、日本という海洋国家の陣営と、大陸国家、19世紀の終わりにグレートゲームと言われたロシアとイギリスの対立の時代の構図が、もう1度やって来ている。

飯田)たしかに中露ヨーロッパは、大きく考えるとユーラシア大陸の国々と、海を挟んで対峙する国々と。

佐々木)アメリカ、イギリス、日本ですが、ジョンソン首相とトランプ大統領ですからね。頼りになるかどうか。

飯田)そこで両者の接着剤的に日本が立ち回るのかというところだけれど、ロシアからすると足元を見るようなところでもあります。

佐々木)そうなることは間違いないですよね。

飯田)北方領土、国後島、択捉島のあたりに地対艦ミサイルを配備という話もあります。

佐々木)中国との関係が改善されて、そこの地政学リスクが減ったのはロシアにとって大きいでしょうね。冷戦時代も中ソの対立は激しかったので、中国に向き合わなくてはいけなかったのが、それがなくなると、敵は日本とアメリカだけというようなことになる。

飯田)日本としては、そこに楔を打ち込むような動きを本当は見せたいというところでしょうか。

佐々木)かと言って隣国とは仲よくできないので、インドやオーストラリア、アメリカと仲よくしつつ、にらみをきかせて行くという方向しかないでしょう。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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