AIでよみがえった美空ひばりが新曲披露!! 作詞の秋元康も驚き

美空ひばりが現代によみがえり、新曲を披露する。NHK総合で9月29日放送の「NHKスペシャル AIでよみがえる 美空ひばり」(午後9:00)では、この夢物語を最新のAI技術によって実現させる。

番組では、晩年のひばりの音源・映像をもとに、ヤマハが開発を進めているAIによる深層学習技術(ディープラーニング)を使用した歌声合成技術を用いてひばりの歌声をよみがえらせ、4K・3Dホログラム映像で等身大のひばりの姿を出現させる。歌うのは、生前最後の曲「川の流れのように」を手掛けた秋元康氏作詞の新曲「あれから」。振り付けは、ひばりの曲を歌い継いでいる演歌歌手の天童よしみが手掛けた。

取材会に出席した秋元氏は「AIの技術はここまできたのかと驚きました。何よりも感動したのは、テクノロジーよりも、亡くなって30年たってもこれだけひばりさんを愛している方がいること。やはり科学というものは人間の夢や願いで奇跡を起こすものだと思います」と夢の実現に感無量の様子。天童も「30年ぶりに大好きなひばりさんにお会いすることができ、涙があふれました」と目を潤ませた。

新曲「あれから」には「お久しぶりです」「私の分まで、まだまだ、頑張って」という語りのパートがあり、秋元氏は「歌詞だけでなく、セリフの部分もどうしても足したかった。もしこの世にひばりさんが現れたら、『お久しぶり』『私の分まで頑張って』と絶対におっしゃるだろうなと思った」と歌詞に込めた思いを明かしつつ、「われわれがひばりさんのイメージを勝手に作っていいのかとも非常に考えました」と悩んだことも告白。

しかし、「川の流れのように」を作詞した際に、「ひばりさんに『なぜ20代の駆け出しの作詞家にやらせようと思ったのか』と聞いたところ、『あなたが何をやろうが、失敗しようが、美空ひばりは何でもないし、何も変わらない。だから思う存分にやりなさい』という感じだった」ことを振り返り、「天国のひばりさんは『面白いことをやるのね』と受け止めてくださるはず。そういうことを理解してくださる方」と考えてプロジェクトに参加したという。

その一方で、「今後、あの人にもよみがえってもらいたいと、AIによる復活が多くなると思う。でも、そこには故人の思いや感情が必要なのではないか。『自分ではないから一切嫌だ』という方もいるはず。その線引きが難しい」と今後の課題も指摘していた。

© 株式会社東京ニュース通信社