30年目の「渡鬼」テーマは自立。橋田氏「今はいくらでも楽しいことがある」

TBS系で9月16日放送の「橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり 3時間スペシャル2019」(午後8:00)の会見が行われ、脚本の橋田壽賀子氏、プロデューサーの石井ふく子氏が出席した。1990年から国民的ドラマを手掛ける橋田氏は「こんなに長い間お仕事をさせていただき、本当に感謝しています。自分の中にはいつもその時代ごとにテーマがあります。ずっと同じキャラクターが年を重ね、それと共に家族の問題も変わっていきますが、私の中でも変わっています。それを全部吐き出させていただいているのが『渡る世間は鬼ばかり』なんです」と今年で30年目を迎える喜びと変わらぬ創作意欲をアピールした。

同作は、小料理屋「おかくら」を営んでいた岡倉家の5人の姉妹の次女・五月(泉ピン子)を中心に描くホームドラマ。1990~2011年まで21年にわたり全10シリーズが放送され、以降も毎年続編が制作されている。今作では姉妹の子どもたちが切り盛りするようになった中華料理店「幸楽」と「おかくら」の世代交代を中心に、手持ち無沙汰になった五月がスマートフォンを使って料理の動画配信を始めるなど、新たな一歩を踏み出し始めた家族の姿が描かれる。

橋田氏は「私はスマホのことはよく分からないのですが、世の中を見ていると、スマホから人のつながりも生まれている」と物語にスマホから広がる人のつながりを取り入れたことを明かし、「今回のテーマは自立です。親世代もだんだん歳をとって一人になっているが、自分を大事にすれば、きっとよくなるはず。昔は一人きりでは寂しかっただろうけど、今はいくらでも楽しいことがある。テレビもあるし、スマホもある。私も一人で家族がいないので、それが反映されているのもあります」と今作の見どころを明かした。

プロデューサーの石井氏も「おかげさまで30年を迎えましたが、私も橋田さんも家族の中にこそサスペンスがあると考え、変わっていく家族の問題を描いてきました。家族をいろんな角度から見ていただいて、皆さんにどの家庭でも同じようなことがあるんだなと思っていただきたい。これからも家族のドラマを追いかけていきます」と今後も橋田氏とタッグを組んでシリーズを続けたいと訴えていた。

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