海外から多数来県 タトゥー入浴どう対応 

タトゥーを隠すために販売されているシール=4日午後、宮崎市・青島フィッシャーマンズビーチサイドホテル&スパ

 サーフィンの世界選手権「ワールドゲームス(WG)」(7~15日)の開催地の宮崎市。多くの海外選手や訪日外国人観光客(インバウンド)が訪れるが、ほとんどの宿泊施設はタトゥー(入れ墨)がある場合、公衆浴場の利用を原則禁止している。一般客への配慮が理由だが、20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会や来年の東京五輪・パラリンピックではインバウンドのさらなる増加が見込まれており、宿泊施設からは「原則禁止が適切かどうか考えることも必要」という声も出ている。
 県ホテル旅館生活衛生同業組合によると、加盟する全180施設の公衆浴場がタトゥーのある人の入浴を原則禁止としている。タトゥーに反社会的なイメージがあり、反社会勢力との判別が難しいからだという。
 田爪広志事務局長は「解禁するにしても一般客に納得してもらえる説明が必要。トラブルを避けるためには、例外を設けず一律禁止にする方が現実的」と理解を求める。
 市内のあるホテルは「大会期間だけ解禁したら、『あの時は入浴できたのに』とタトゥーのある人と一般客の両方から不満が生まれる」と説明する。
 WGの会場に近い同市青島の「青島フィッシャーマンズビーチサイドホステル&スパ」は大会期間中、多くの外国人客の利用が見込まれる。以前からタトゥーが小さければ、有料のシールを張って隠すよう呼び掛けているが、富永真広支配人は「一般客の目もあり、WG開催中でも解禁まではできない」と明かす。
 ラグビーW杯の試合会場となっている温泉地・大分県では、タトゥーがあっても入浴できる温泉が約100施設ある。別府市は入浴可能な施設を検索できる外国人向けのホームページを開設し、入浴マナーも紹介するなど、インバウンドのスムーズな取り込みに力を入れる。
 宮崎市の宮崎観光ホテル広告宣伝部の長友修一部長は「タトゥーへの対応は検討すべき課題」と様子を見る。田爪事務局長は「禁止のままだと民族、宗教上の差別に当たる可能性もある」とした上で、「外国文化を積極的に理解し、柔軟に対応することも考える時期に差し掛かっている」と解決策を模索している。

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