「技術や緻密さ見て」 西陣美術織で「若冲」再現、巡回展

若冲の細かな筆遣いも再現されている西陣美術織の巡回展=小田原市民会館

 西陣織誕生550年を記念し、西陣美術織工房の全国巡回展が、小田原市民会館(小田原市本町)で開かれている。県内では初開催で、江戸時代の画家・伊藤若冲(1716~1800年)の作品を緻密な糸の立体美で再現している。入場無料。8日まで。

 同工房は、着物需要の衰退に悩む帯職人らで、20年ほど前に設立。仏像や絵画、風景などを織物で表現する西陣美術織に取り組んでいる。巡回展は、2017年から始められ、これまで100カ所ほど回ったという。

 会場には若冲の「釈迦三尊像」「動植綵絵(さいえ)」を再現した計28点と、若冲の人気作品「日出鳳凰(ひのでほうおう)図」「百犬(ひゃっけん)図」などから織った5点が並ぶ。作品の横には若冲の原画のコピーと解説が添えられている。

 1作品に髪の毛の半分ほどの細さの糸を縦2700本、横1万5千本ほど使って織っている。再現は緻密で、鳥の羽を1本ずつ丁寧に描いた若冲の筆遣いが伝わるような仕上がり。

 色糸は12種類ほどあり、それぞれが合わさることでドット絵のように色を浮かび上がらせている。会場にはルーペが用意してあり、その仕組みを見ることができる。担当者は「西陣織の伝統技術や緻密さを見てもらいたい」と話している。

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