大分県警がすり対策 W杯試合会場やファンゾーン警戒【大分県】

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すり犯のさまざまな手口を紹介する元広域技能指導官の宮本光生さん(右)=8月22日、大分市松岡の県運転免許センター

 ラグビーワールドカップ(W杯)大分開催を前に、県警がすり対策に乗り出した。県内は人混みが少ないため、年間2、3件程度の認知件数にとどまるが、W杯期間中は試合会場やファンゾーンで観衆が狙われる恐れがある。外国人犯罪グループの来県も想定し、専門家を招いた実践訓練などで備えを進めている。

 「すりの摘発は現行犯が基本です」。8月22日、大分市内であった県警の研修会。元大阪府警警視で警察庁指定の「すり犯広域技能指導官」だった宮本光生さん(61)=大阪市=が、若手刑事ら約80人に捜査手法を伝授した。

 宮本さんは現役時代に約400人を逮捕し、「猛者」と呼ばれた。講義は全て非公開だったが、自身の経験を交えながら犯人特有の挙動を見抜き、尾行し、現場を押さえる技術を指導したという。

 宮本さんによると、すりは▽電車に乗る際に体を密着させ、背中を押しながらズボンの後ろポケットの財布を抜き取る「乗り込み」▽信号待ちで横に立ってショルダーバッグに手を入れる「脇使い」―などがある。

 新聞や上着で自分の手元を隠すほか、財布の中身を抜き取って戻す手口もあり、「確実に逮捕するには捜査員の連携が重要。凶器への対応も想定する必要がある」とアドバイスする。

 警察庁の統計によると、昨年のすりの被害認知件数は全国で3281件。都市部が多く、大分県は2件。2014~18年の5年間でも計14件にとどまる。「満員電車など体が触れ合う状況で起こる犯罪。地方の大分県では発生自体が少ない」と県警刑事企画課。

 W杯は試合会場の昭和電工ドーム大分(大分市)だけでなく、JR大分駅周辺のファンゾーンやシャトルバス乗り場などで混雑が予想される。

 「かばんやリュックサックは体の前に抱えるように持ち、財布などは奥に入れる。体が密着する状況では特に注意を」と宮本さん。

 県警は「観衆に紛れ、すり犯グループが近くにいる可能性がある。貴重品の管理には十分気を付けてほしい」と呼び掛けている。