日本代表に最も選手を送り出したJクラブはどこだ? 1位はダントツで…

「日本代表に最も選手を送り込んでいるJクラブはどこか――?」

この命題、誰もが一度は考えたことがあるのではないだろうか。

今回は、2010年から2019年6月9日のキリンチャレンジカップ、エルサルバドル戦に至るまで過去10年間の日本代表戦において出場した選手のキャップ数を所属クラブごとに集計してランキングを作成した。果たして1位に輝いたのは?

(文=池田敏明、写真=Getty Images)

過去10年間で日本代表に選手を送り込んだクラブは20

サッカー日本代表は日本時間6月17日朝、南米大陸のナショナルチーム王者を決めるコパ・アメリカの初戦を迎える。日本が招待されるのは1999年大会、2011年大会、2015年大会に続いて4回目。2011年大会は東日本大震災発生のため、2015年は日程の調整がつかなかったために辞退しており、今回は2度目の参加となる。

日本は今年すでにアジアカップを戦った関係で、コパ・アメリカの代表選手招集に拘束力がなく、主に2020年東京オリンピック世代のメンバーで臨むことになった。Jクラブ所属選手が半数以上を占める編成となり、招集された選手にとっては代表への定着と自身のステップアップに向けてのチャンスとなる。

海外組が増えているとはいえ、Jクラブは日本代表にとって重要な人材供給源だ。そこで今回は、FIFAワールドカップ・南アフリカ大会が行われた2010年から2019年6月9日のキリンチャレンジカップ、エルサルバドル戦に至るまでの10年間に、主にどのクラブから選手が招集されているのか、そのクラブに所属している間にどれだけのキャップ数を重ねているのかを調査してみた。
そのキャップ数をクラブごとに総計したランキングも作成している。
ただし、対象とするのは2010年から2019年に、Jクラブ所属中に記録したキャップ数のみ。例えば楢﨑正剛は1998年から2010年まで日本代表で活動しているが、ここでは2010年に記録したキャップ数のみを集計する。香川真司や大迫勇也のように海外クラブにも所属している選手は、Jクラブ所属時のキャップ数のみをカウントしている。

まず、過去10年間に日本代表選手を輩出したクラブは、全部で20クラブあった。ヴァンフォーレ甲府やアルビレックス新潟など、現在J2に所属するクラブからも選手が招集されている。新潟でプロデビューを果たし通算42キャップを誇る酒井高徳はシュトゥットガルト移籍後に代表デビューを飾っているため、新潟での数字は「ゼロ」となる。

過去10年で代表輩出の最多人数は鹿島の18人

代表キャップを刻んだ人数が最も多かったのは、鹿島アントラーズで18人だった。鹿島は内田篤人や大迫勇也、柴崎岳、小笠原満男、昌子源など、過去のW杯でメンバー入りしたことのある選手を多く輩出している。彼らは鹿島在籍時から代表に招集されており、このあたりからも同クラブのレベルの高さがうかがえる。

鹿島に次いで多かったのは、FC東京の17人。通算117キャップ、W杯3回出場の長友佑都はFC東京時代の2008年に代表デビューを飾っており、ここでは2010年初頭から南アフリカW杯までの12試合をFC東京にカウントした。

過去10年の最多キャップ数は断トツでガンバ大阪

一方で、キャップ数を見ると11人のガンバ大阪が165キャップで断トツのトップに立っている。これは遠藤保仁、今野泰幸というベテラン2人の影響が大きい。日本歴代最多となる152キャップの遠藤はG大阪での2010年以降に67試合、93キャップの今野は同じ条件で38試合に出場しており、この2人だけで100キャップを超える。東口順昭や三浦弦太といった現在進行形の代表選手も在籍しているだけに、しばらく首位の座は安泰だろう。

チームとして100キャップを超えているのは、G大阪以外ではFC東京の129キャップ。こちらは森重真人の41キャップが目を引く数字だ。彼は2013年に代表デビューを飾っており、その時にはすでにFC東京に在籍していたので、そのキャップ数すべてがFC東京の数字に反映されている。また、今野もFC東京時代に22キャップを刻んでいる。

3番目に多いのは浦和レッズの93キャップで、人数最多の鹿島と、セレッソ大阪が80でこれに続く。浦和は槙野智章が30キャップ、西川周作が19キャップ、柏木陽介が11キャップと多くの試合に出場しているが、彼らの古巣であるサンフレッチェ広島も63キャップで8番目に多い。西川と槙野は広島時代にもそれぞれ11キャップ、4キャップを記録している。

過去10年の個人最多キャップは遠藤保仁

期間中の個人としての最多は遠藤の67キャップで、C大阪の山口螢が44で2番目。彼自身のキャップ数は46だが、そのうち44をC大阪時代に稼いでおり、これがC大阪の80キャップに反映されている。2019シーズンからヴィッセル神戸に所属しているので、今後、彼のキャップ数が増えれば、それは神戸のキャップ数が増えることにつながる。

代表輩出人数が1人だけのクラブは4つ

代表出場選手が1人だけというクラブは北海道コンサドーレ札幌、湘南ベルマーレ、甲府、大分トリニータの4クラブ。札幌の鈴木武蔵、湘南の遠藤航、甲府のハーフナー・マイク、大分の菊地直哉がそれぞれキャップを刻んでいる。

当たり前のことではあるが、やはりタイトル争いに絡むようなクラブから多くの代表選手が生まれている。彼らが代表で活躍し、海外移籍を果たすことになっても、また新たな若手が育ち、再び代表に招集されるようになる。そのサイクルが機能しているチームが、ビッグクラブとしての道を歩むことになるのだろう。

<了>

過去10年 日本代表選手輩出クラブランキング

1. ガンバ大阪 165キャップ(11人)
2. FC東京 129キャップ(17人)
3. 浦和レッズ 93キャップ(15人)
4. 鹿島アントラーズ 80キャップ(18人)
4. セレッソ大阪 80キャップ(7人)
6. 川崎フロンターレ 79キャップ(10人)
7. ジュビロ磐田 69キャップ(6人)
8. サンフレッチェ広島 63キャップ(13人)
9. 横浜F・マリノス 51キャップ(9人)
9. 名古屋グランパス 51キャップ(8人)
11. 清水エスパルス 34キャップ(5人)
12. 柏レイソル 27キャップ(7人)
13. ヴィッセル神戸 23キャップ(5人)
14. サガン鳥栖 18キャップ(4人)
15. ベガルタ仙台 8キャップ(2人)
16. 湘南ベルマーレ 5キャップ(1人)
16. ヴァンフォーレ甲府 5キャップ(1人)
18. アルビレックス新潟 4キャップ(2人)
19. 北海道コンサドーレ札幌 2キャップ(1人)
20. 大分トリニータ 1キャップ(1人)

※数字は2010年~2019年6月9日時点

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