鉄道機器がミャンマー事業参画 国鉄幹線に分岐器納入

ヤンゴン・マンダレー鉄道に納入される分岐器=高岡市福岡町下蓑

 高岡市福岡町下蓑に主力の富山工場を持つ分岐器メーカーの鉄道機器(東京)が、ミャンマーを縦断する主要鉄道の再整備事業に参画することになった。総事業費3千億円を超える大型プロジェクトで、これから3年かけて約150組の分岐器を納める。国外の鉄道整備を手掛けるのは半世紀ぶりで、大量輸送時代を迎えるアジアをターゲットとした海外展開に弾みを付ける。

 鉄道機器が分岐器を受注したのは、ミャンマー国鉄が運営するヤンゴン・マンダレー鉄道。旧首都で最大の都市であるヤンゴンから新首都ネピドーを経由し、第2の都市マンダレーまでを結ぶ延長620キロの路線で、沿線に人口の4割が住む。

 交通の大動脈であるにもかかわらず、路線の大部分は英国の植民地だった19世紀に建設されたままの状態で、老朽化が著しい。旅客や貨物の輸送ニーズが高まる中、列車の速度低下や脱線事故が問題になっている。ミャンマー政府の要請に基づき、2014年に日本の政府開発援助(ODA)による再整備が決まった。

 事業はヤンゴンから中部の都市タウングーまでの区間を「フェーズ1」、タウングーからマンダレーまでを「フェーズ2」とし、順次工事を進める。

 延長267キロのフェーズ1は昨秋に着工し、このうち準大手ゼネコンの東急建設(東京)が受注したタウングー寄りの116キロの区間に、鉄道機器が分岐器を納める。

 24年の整備完了後、ヤンゴンからマンダレーの所要時間を現在の15時間から8時間に短縮する目標がある。同社は列車が高速化しても摩耗しにくく、メンテナンス性の高い分岐器を提案した。富山新港から運ばれた納入第1弾の分岐器が、今月中旬に現地に届く予定。

 同社は高岡市中田地域出身の故吉田儀作氏が1914年に東京で創業。太平洋戦争中に旧福岡町に生産拠点を移し、富山工場を稼働させてきた。北陸新幹線を含む全ての整備新幹線のほか、全国のJR、公営鉄道、私鉄に納入している。

 戦後、朝鮮半島などに製品を納めた実績があるものの、海外の鉄道プロジェクトへの本格的な納入は今回初めて。創業者のひ孫に当たる吉田晃社長は「国内で培ったノウハウを生かし、海外の仕事に積極的に挑みたい」と話している。(西部本社・浜田泰輔)

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