暮らしを守る教訓、胆振東部地震から1年【3】

室工大留学生への対応

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慣れない生活を支援

留学生を対象に日本での生活、災害時の対応などの講習会を定期的に開いている市民団体「留学生フレンドシップ」(提供写真)

 「どこに逃げたらいいですか」。昨年9月6日午前3時7分、室蘭市内で震度3の地震を観測。間もなく市内全域で停電となり、誰もが混乱に陥った。そんな中、慣れない日本での生活を送る室蘭工業大学の留学生たち。彼ら、彼女らを支えたのは室蘭の市民団体「留学生フレンドシップ」(日栄均代表)のメンバーだ。

 同団体は、室工大留学生を中心とした室蘭に住む各国の留学生と市民が交流を結ぶ活動を行っている。日ごろから困り事があれば、留学生に支援の手を差し伸べている。

■動揺隠せず

 めったに地震が起きない中国やベトナムの留学生は動揺を隠せなかったようだ。三津谷達子事務局長をはじめとするメンバーの元に留学生から「このまま家にいていいのか」「余震はいつ、どうやって起きるのか」など問い合わせが、会員制交流サイト(SNS)の「LINE」を通じて何件も届いたという。

 三津谷事務局長は「留学生は生活に余裕がないせいか、食料など買いだめはあまりしていません。懐中電灯や乾電池なども持っていない。連絡をしているうちに携帯の充電が切れてしまうことも理解していない。外に出るのは危険なので家にいて、と呼び掛けました」と話した。留学生は自家用車を所有していないため、スーパーへ買い物に連れて行ったり、商品を多く買っては留学生に届けた。

 中国・内モンゴル自治区出身で同大の博士研究員である国慶さん(28)は、大きな地震を経験したのは初めて。「怖い思いをしました」と振り返る。「いつまた地震が来るのかと不安でいっぱいでした。フレンドシップのメンバーが安全を確認してくれたり、アドバイスをしてくれて、とても助かりました」。日本語を話せない仲間に情報を送ったという。

■外国人増加

 同団体は、留学生を対象に定期的に研修会を開き、日本での生活マニュアルを伝えている。基本的な生活から、地震などの自然災害への対応などを指導した。日栄代表は「室蘭に住む外国人は年々増えている。留学生たちが頼れる場所として、フレンドシップだけでなく、自治体が対策を取ってほしい」と願いを込める。

 留学生の居住先は水元、高砂の東明地区が多い。「日ごろから交流を深めていないと、何かあったときに助け合えない。若い留学生と知識のある町会の人々が互いに補える関係性を築いてほしい。フレンドシップはその懸け橋として役に立てれば」。日栄代表は今後の課題や対応など声を大にして伝える。
(坂本綾子)

(2019年9月6日掲載)