祖父母からわが子へのおこづかい、親はどこまで口出ししていい?

夏休みも終わり新学期が始まりました。先月までの長い休みの間、帰省をした家庭も多かったのではないでしょうか。遠く離れた祖父母にとっては、お正月や夏休みは孫に会える楽しい時間とも言えます。

楽しい祖父母との時間も、親として気がかりなのは、祖父母からわが子へのおこづかい作戦です。遠く離れていなくてもおこづかいをもらえる機会はありますが、ましてや、遠方にいる祖父母にとっては、たまの再会で可愛い孫にお財布のひもは緩みっぱなしになってしまうことでしょう。

この問題は講演においても質問が多い事柄です。しかし、正解があるのかというと、そういうわけでもないのです。その家庭の教育方針のもとに自信をもって立ち向かっていただければと、陰ながらエールを送っています。これらを踏まえて、参考になりそうなお話をさせて頂ければと思います。


自分の実家と、配偶者の実家でも対応は変わってくる

祖父母からのおこづかい問題は、自分の親なら遠慮なく言えることも、配偶者の親となると気を使ってしまうケースが多いのではないかと思います。

まず、自分の親であれば、多額なおこづかいは困るとか、おこづかいをあげるなら親(自分)に渡してほしいなど、こっちの都合をストレートに伝えることができますね。

一方で、配偶者の祖父母には、そういう訳にはいかないこともあります。しかし、家庭が考える教育方針と乖離しているのでしたら、そのまま放置するのは良くないです。それはおこづかいをもらう子どもにもいい状況とは言えません。なぜなら、親がブレてしまってはいけないからです。

できれば、配偶者から伝えてもらえるといいのですが、それこそ難しいなんて声が聞こえてきそうですね。

では、こんな伝え方はどうでしょうか。祖父母にとって孫は可愛いし、幸せな人生を送ってもらいたいと願っているはずです。まずは、ここの部分をしっかり共有することです。

祖父母に対して使えそうな言葉

・お金の大切さがわかる大人になってほしいと考えているので、おこづかいは〇〇円までを渡してほしい

・これからは教育費がますますかかるので、頂いたお金はこの子のために貯めておきたい

・この子の誕生日や入学祝いに思いっ切り使ってもらえると嬉しい

わが家の方針を伝えられたら大成功

やはり祖父母と私たち親とは育ってきた時代が違います。ですので、お金に対する想いや考え方、使い方など根本的にすれ違っていても不思議ではありません。

ですから、それぞれの考え方は尊重すべきです。なかには、お金の話を持ち出すと怒るような祖父母もいらっしゃるかもしれません。それは、お金に対してのイメージが悪かったり、または、汚いものと考えているからかもしれません。人前ではお金の話はするなとか、お金の話すらしない家庭もあります。

しかし、お金の話はタブーではなく、むしろオープンでなければなりません。なぜなら、お金についてのリテラシーを身に付けることこそ、生きていくために必要な時代になっているからです。

国や会社がその人や家族の人生の面倒を見てくれた時代はとうに終わっています。これからは自分の資産や家族を自分の手で守っていかなければなりません。そういう厳しい時代になったことを理解してもらうことが大切です。

次に、家庭における親の哲学、つまりは家庭の教育方針を祖父母に伝えてみましょう。ここまで、伝えることができたらまさに大成功です。あとは、時間をかけても、理解してもらえるように根気比べです。すぐには変わることはできないかもしれませんが、お互いを尊重しながら、気長に構えましょう。

祖父母の立場と気持ちも受け取ってあげる

そして最後に、祖父母の立場を理解してあげることも、遠回りのようですが大切なことなのです。年齢の順番で考えると、親よりも祖父母のほうが先に最期を迎えることになります。残された人生のなかで、孫へのおこづかいやプレゼントが生きがいになっているかもしれません。

つまり、おこづかい作戦は永遠に続くわけではありません。いつか、お別れをしなければならないのです。そのことも、頭に入れながら、許容できる範囲は喜んで受けてもいいのでは、と私は考えています。

祖父母のおこづかい作戦を通じて、子どもにも何か思い出が残るような体験や学びがあるといいですね。もらったおこづかいで、子ども自身に「何を買うか」「どこで買うか」など買い物をさせてみる経験も、生きた社会勉強になるのではないかと思います。そして、買った品物やそのお礼についてはきちんと祖父母に伝えるようにしつけはしたいものですね。

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