夏の疲れが残っていたら…意識して試したい「脳の休ませ方」

あっという間の9月。今年の夏休みはいかがでしたか?日頃の仕事の疲れを癒すため、都会の喧騒を離れた人も多かったのではないでしょうか。

「デジタルデトックス」という言葉も生まれる昨今。時にはPCやスマホから目を離し、のんびり何も考えないリラックスした時間も持ちたいものですよね。

しかし、あなたのリラックス方法では、もしかすると脳は休めていないかもしれません。今回はそんな少しドキっとするお話をご紹介します。


ぼーっとするだけでは逆効果!?

「海を見たり空を見ながらただぼーっとしていても、脳は休まない」という衝撃的な研究があります。ワシントン大学のマーカス・レイクル博士の研究によると、ぼーっとしているとき、脳にはアイドリング機能があり、様々な刺激に待機・準備をしてしまう結果、脳のエネルギーの約75%が使用されてしまうようです。

PETやfMRIを用いた脳の血流の研究では、1日の中で意識的な脳の活動で使用されるエネルギーはたったの5%、20%は脳組織の維持に使われます。そしてなんと残りの75%の脳の活動が、ぼーっとしている時に使われており、この活動をデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼びます。

ストレスがたまっている状態で色々と気がかりなことがある時にぼーっとすると、雑念が浮かび、あれやこれや考えてしまい、脳疲労が起こりやすくなります。

これは、前出のぼーっとしている時に活性化する脳のアイドリング機能(DMN)により、対処困難な事案といやな気分がひもづいて、更にDMNが過剰に活動してしまう為です。

そうなると、たとえ海を眺めてぼーっとしていても、結果として「更に疲れてしまう」ということが、しばしば起こります。

マインドフルネスを意識しよう

一方、ストレスをケアし、雑念に左右されず、今ここに集中できる状態(マインドフルネス)にしながら、物事を前向きに捉える習慣があると、ぼーっとしていたとしても、雑念によるDMNの過剰な活動が抑制されます。

それにより、DMNにより普段は脳の様々な場所に格納されている情報同士がネットワークされ繋がり、ひらめきや脳の整理機能が働くことで、判断がクリアになるといわれています。

ただぼーっとしているだけでも上記のように体と心への影響が変わってきてしまうのです。

脳の約75%のエネルギーを使用して、ストレスによりマイナスな感情や思考がひもづけされるようなDMNの過剰な活動で疲れてしまうのか、ストレスによる雑念に邪魔されないでDMNでひらめきなどを起こさせるかは、ズバリ「今ここに集中し、楽しい時間を持ち、ストレスを軽減できるか」が重要な分かれ道となります。

心を開放する遊びでマインドフルネス状態を作る

「好きな事に集中していると疲れ知らず」という言葉があるのですが、近年の脳の研究ではまさしくそれを証明しています。意識的に今、ここに集中して気持ちよい状態をつくると、DMNの過剰な活動を抑制されるので、雑念がわかず脳疲労も起こりにくくなります。

ぜひ、このようなマインドフルネスな状態をつくるよう心がけてください。以前から私は[「遊び方改革」](を提唱しているのですが、今一度想い起こして脳疲労を抑制する為の遊びを取り入れてみてください。

心を開放する遊びのポイントは、感じる・作る・競う・演じるという行動のいずれかを行うことによって、脳が集中し雑念を取りやすい状況にします。過剰なDMNのアイドリング活動も減り、脳疲労を抑制させます。

脳疲労の抑制方法

そこで今回は、感じる・作るを取り入れた私自身の遊び方改革による脳疲労の抑制方法をご紹介します。ぜひ文章と写真から脳疲労の抑制方法をイメージしてみてください。

夏の夜に一夜限り、白い大輪の花を咲かせるサボテン科の植物で月下美人というお花があります。毎年、私の部下の実家から心洗われる写真が送られてくるので、数年前にその花の株分けをしてほしいと頼み、葉1枚から水につけ、芽をださせ、土に植え、大切に育て、いつの日か真夏の夜に白い妖艶な花を咲かせてる月下美人を夢に見て、来る日も来る日も大切に育てました。(写真1)

写真1

去年、月下美人の葉が成長し、ゴミ箱の陰に隠れ、隠れても更に大量の葉を出したので、この陰になる環境が適応させているのかもと思い、ゴミ箱をどかさず、育ててみる決断をしました。

そして今年7月18日、ゴミ箱のかげに隠れた葉から花芽がつき、7月31日夜の8時頃までつぼみが大きく膨れ(写真2)、

写真2

なんと9時過ぎに待ちに待った月下美人の花が開いてくれたのです(写真3)。見る見るうちに花が開き、約3時間ほどで満開になりました。ベランダの窓を開け、月下美人の開花を友人とともにシャンパンを飲みながら、深夜1時過ぎま今で観察をしていました。

写真3
写真4

その間、花が開くことだけに集中し、お互い自分の目で見た状況を相手に伝え、開花の観察だけに集中した時間をもちました。

「つぼみの先から白い花が見えた」「花のがくが2枚開いた」「白い花弁が3枚広がった」など、数年間この花に出会いたくて水やり、肥料やり、を続け、台風で花芽が飛んでいかないように荒天準備をし、かわいがって育てた花の晴れ姿を見る様な気分で、脳が集中していることに気づきました。

集中など意識を働かせている時の脳は5%しか脳のエネルギーを消費せず、今ここに集中し楽しい思いをすることでストレスを軽減できると信じたことで、開花を友と共有し、楽しむことに集中できたのです。

その結果、1時過ぎまで起きていた脳とは思えないほどの活性度と気分の良さで、脳の疲れが取れていくことを体感しました。

心穏やかな満足感と共に月下美人の花をぼーっと見ていたため、ストレスによる雑念が入る余地が無く、DMNが活性化されても良い感情と関連付けられた情報同士が自由にリンクしあったのでしょう。

これは、脳疲労の抑制方法の例にすぎませんが、ぜひ皆様も頭の端に、脳の働きを意識した遊び方改革」のことを少し意識してみてください。きっと日々のビジネス脳の疲労をとるヒントになると思います。

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