豊かな音色、美しく調和 わたしたちのアンサンブル

楽器を携えて集まったのは、ニュージャージー近郊の日系人室内楽アンサンブルサークル「ハーモニーの広場」のメンバー。バイオリン、フルート、クラリネットの音程をピアノのAの音(ラの音)にチューニングで合わせる間も、笑顔と軽快なおしゃべりが絶えない。「動画のアップロードまで、練習はわずか3回です」とインストラクターの永岡みねさんが呼び掛けても、リラックスムードは変わらない。

サークルでは、クラシック、ポップス、ジャズなど、さまざまなジャンルの音楽から、メンバーのリクエストに応じて曲目を取り上ている。月2回程度、週末の練習に励んでいて、目標は年1回のコンサート会場での演奏と、その演奏のユーチューブへの投稿だ。メンバーは、無理のないスケジュールで、多忙な仕事や家事の合間を縫って練習に励む。

この日は「コールドプレイ」のポップスの名曲「Viva La Vida」と、優雅な映画音楽「ニュー・シネマ・パラダイス」の音合わせ。曲をリクエストしたAさんとBさんは「先生の編曲がとてもいいから演奏していても気持ちがいいです」と口をそろえる。「テクニックの難しい部分は先生が簡単にしてくれるので気が楽です」とCさんが付け加えると、「簡単でも一音一音が大切ですよ」と永岡さんがくぎを刺していた。

演奏経験者らが楽器を持参して練習する。年1回の演奏会が目標

メンバーの自宅リビングルームで始まった音合わせは、弦楽器のリズミカルな拍子に、フルートとクラリネットが奏でるメロディーが重なっていく。ピアノが通奏低音で加わると、演奏メンバーの表情はみるみる引き締まっていった。時々音が少し外れたり、リズムが多少狂ったりすることも。それでも、皆、一様に音楽家の面持ちで真剣に演奏していた。

練習の合間、ピアノ奏者のDさんは、「忙しい子育ての合間にほんのひととき音楽が楽しめて、私の生きがいの時間です」とほほ笑む。さらに、メーカーに勤めるクラリネット奏者のEさんは、「まさか、赴任したアメリカで楽器を吹ける時間に恵まれるとは思いませんでした」と、趣味の時間が持てたことに喜び、リクエスト曲のチャイコフスキー作曲「くるみ割り人形」の演奏を心待ちにしているという。

練習後はメンバーで仲良く食事を取って談笑

アンサンブルグループは現在2つに分かれていて、もう一つのグループは、バッハ作曲の本格的なバロック音楽「二つのバイオリンのための協奏曲」や、ビバルディの「バイオリン協奏曲」の練習に励んでいる。メンバーの嗜好に応じた楽曲を演奏者の技巧に応じて編曲しながら演奏する姿勢が徹底されている。 演奏後は、メンバーと共にランチでおしゃべりを楽しんだりする他、定期的に「ワイン&ミュージック」と銘打った楽器の演奏とホームパーティーをセットにしたような会を開いたりと、仲良く過ごす。

アットホームな雰囲気ながら顔つきは真剣そのもの

Harmony Square

月2回、ニュージャージーのスタジオで。体験アンサンブルは無料。 バイオリン、チェロ、ギターなどの弦楽器、 フルートやオーボエ等の木管楽器、ピアノ演奏者を随時募集中。 【問い合わせ】harmony.ganrei.com/uraramine@hotmail.com

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