サンパウロ靖国講が慰霊祭=若い世代中心に平和への祈り

10代の姿が多く見られた参加者の様子

 ブラジル・サンパウロ靖国講(服部修平リカルド講元)による慰霊祭が8月31日午前、聖市リベルダーデ区の東洋会館で行われ、約60人が英霊と移民先達に玉串を奉奠した。当日はブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長、下本八郎元聖州議、リベルダーデ文化福祉協会の池崎博文会長をはじめ、プロミッソン靖国講の中場マサ子講元も参加した。

お清めする上妻宮司

 宮崎征人カルロスさん、渋谷山田レナンさんが司会を務めて、西国幸四郎副講元が開会の辞を述べると、祭主の上妻博彦宮司が入場し、その場をお清めした。
 当日は日本の靖国神社の山口建史宮司から「永年に亘り皆さま方が祖先や先人の労苦に思いを致し、尊崇の念を捧げますことは、ご英霊や移民物故者の神霊にとりまして何よりの御事と拝察申し上げます」とのメッセージが届けられた。
 上妻宮司はこの日のために記した英霊や移民先人を讃える祝詞を奏上し、「夢いだき移りきたりし民の裔ここにこぞりて祈り捧ぐる」と締めくくった。祭文では西国副講元に加え、16歳の西国文香さんが自分と同じような年で戦地に向かった英霊や開拓最前線に向かった移民先駆者に平安を祈った。
 式典のあと、「ふるさと」を全員で合唱し、直会(なおらい)でお神酒をいただき、来賓が挨拶した。石川会長は「三世、四世として役割を果たしている皆さんに敬意を表します。我々はいずれ皆さんにバトンを渡します。これは、私たちが諸先輩から渡されたもの。皆さんには輝かしい未来が待っている」と励ました。
 訪日するたびに靖国神社にお参りするという下本元州議は、「たった一人の御先祖がいなくてもあなたは生まれない。先祖がない人に未来はない。だから私は毎朝、先祖に感謝の祈りを捧げます」との心構えを説き、池崎会長は「素晴らしい慰霊祭に参加させてもらった。ぜひ毎年この会館を使ってください」と称賛した。中場プロミッソン講元も「りっぱな慰霊祭をありがとう。皆さんの孫の代まで靖国講を伝えて」と10代が半数以上を占める会場にお願いした。

森西茂行さんと娘二人

 終戦4日前に海南島付近で兄が戦死したという井料堅治さんはその写真を持参して玉串を捧げ、「若者が多く、賑やかな良い慰霊祭になった」とほほ笑んだ。同じく来場者で98歳の森西茂行さんは「日本では総理も陛下も参拝できない。せめて我々が英霊への祈りを捧げなければ」としみじみ語った。

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