楽天・三木谷氏「携帯キャリア」本格参入に遅れでも自信満々の根拠

楽天の三木谷浩史・会長兼社長は9月6日、10月に開始を予定していた携帯キャリア事業(MNO)について、当初は5,000人にサービスを限定して提供すると正式発表しました。会見前日の夜に、日本経済新聞が「楽天、携帯本格参入を半年延期 20年春に」と報じていたせいか、会見当日は100人以上のテレビカメラや記者が参加しました。

本格的なサービス開始が当初の予定より遅れた格好ですが、三木谷氏はいつもの自信満々な様子でMNOのサービス概要を語りました。そのあふれる自信の根拠となるサービスの強みは、どこにあるのでしょうか。三木谷氏が説明した内容から探ります。


サービス「半年延期」報道を否定

「従来より安価で使いやすい携帯サービスを目指していたが、やるからにはネットワークにおける革命を起こす。世界初の完全仮想化、クラウドネイティブの携帯ネットワーク。このような挑戦を始めました。世界中の携帯キャリアやネットワーク技術者が夢に見た、携帯電話業界におけるアポロプロジェクトといっていい」

登壇した三木谷氏は、同社が取り組むプロジェクトがいかに革新的で、困難であるかを力説。10月1日から5,000人限定で始める「無料サポータープログラム」の概要に触れたのは、話し始めてから約10分後でした。

「一部で『(本格的なサービス開始は)半年(先)とみられる』と報道が出ていますけど、そういうことではなく。革命的な新しいネットワークですから、安定的に稼働していくと確信していますが、確信には確信を入れて、早急に一般のネット申し込みを開始します。もしかすると1ヵ月後に始まるかもしれないし、年内一杯になるかもしれない」(三木谷氏)

無料サポータープログラムは、通信・通話、国際ローミング、SMSが無料で利用可能。東京23区、大阪市、名古屋市、神戸市居住者で満18歳以上が対象となります。10月1日から7日まで申し込みを受け付け、応募多数の場合は抽選となる予定です。

基地局の建設に関して、遅れていると報道が出ていることについては、「当初は少し遅れていたが、順調に回復しております。基地局をネットワークにつなぐオペレーションは多少課題がありますが、現在はすべて解決しています。9月中には当初の予定通り、東京23区、名古屋、大阪、という独自のネットワークを展開している地域はサービスを開始できる」と、「予定通り」を強調しました。

クレカサイズの楽天独自端末「Rakuten Mini」

通常の携帯電話メーカーの端末を販売するほか、楽天独自の端末「Rakuten Mini」を投入することも発表しました。

携帯電話がどんどん大型化し、女性ユーザーを中心に「ハンドバッグからはみ出る」「重すぎる」という声がある中、同端末は「世界最小最薄のFeliCa搭載端末」を謳っています。サイズは106.2×53.4×8.6mmで重さは79グラム。クレジットカードほどの大きさです。

eSIMに標準対応し、SImカードを差し替える必要がなく、30秒で使えるようになります。
発売時期や価格は未定。「Rakuten Mini」シリーズとして、独自端末を今後も展開する予定です。

しかし、今回の会見で契約内容について「縛りなし」「全機種SIMフリー」といったアピールはあったものの、具体的な料金プランの公表はありませんでした。質疑応答の中で「他社がマネできない料金体系になる」「通信料の低下は、政府が考えている以上の効果があると考えている」「通信設備のコストが他社に比べて圧倒的に安い」と語るにとどめています。

プレゼン開始から質疑応答まで終始自信と余裕を見せていた三木谷氏。これが虚勢なのか、本物の自信なのか、本格的なサービスが開始となる数ヵ月に明らかになりそうです。

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