台風で帰れない 命つないだ医薬品リレー 予備尽きた台湾の透析患者「感謝しかない」

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家族旅行中に台風で足止めされ、城間宇恵さん(前列右)たちの連携プレーで救われた陳冠任さん(同3人目)=6日、那覇市内のホテル

 台風13号で那覇空港発着の航空便が欠航し延泊を余儀なくされた透析患者が、県内関係団体の連携プレーで透析液を確保し命をつないだ。患者は台湾から家族旅行に来ていた陳冠任(かんにん)さん(50)。透析液確保に奔走したのは、台湾の透析患者の旅行受け入れ事業を担うSORAアカデミーサポート(那覇市)、とよみ生協病院(豊見城市)、医薬品会社のダイコー沖縄(宜野湾市)だ。6日夜、透析液が届けられた陳さんは「本当に忘れられない経験となった」と感謝した。

 陳さんは1日に4~5回、体内の毒素を腹膜を介して取り除く「腹膜透析」の利用者。1日8リットルの透析液が必要で、今回は旅程の4日分と1日分の予備を用意していた。帰国予定は5日。台風は沖縄本島にも近づいていた。4日時点で欠航がないことを確認した陳さんは、5日朝に予備の透析液を使用した。

 しかし同日、那覇空港に到着すると、帰国する便は欠航に。キャンセル待ちで席を確保できたのは4日後の便だった。妻の洪良妮(りょうに)さん(48)は「透析できなければ死に至ることもある。緊張した」と振り返る。

 陳さんたちは台湾のかかりつけ病院に連絡。たどり着いたのがSORA代表の城間宇恵さんだった。

 城間さんは日頃から連携しているとよみ生協病院に連絡。神田好美看護師長が陳さんを診断し、県内に陳さんに合う透析液があるかどうかをダイコー沖縄と探した。

 すると県内にある透析液は、透析のため陳さんの体に付けられた接続口と異なり使えないことが判明。3者は急いで東京のメーカーに取り寄せを依頼した。長引く台風の影響でメーカーから無事に液が到着したのは6日夜だった。

 陳さんは「今回は運が良かった。感謝しかない」と笑顔。奔走した関係者と再会を誓った。

 城間さんは「外国人観光客の中には、こうした健康弱者がいることを知ってほしい。誰もが沖縄を楽しめるよう、周囲や行政も健康弱者へのサポートに関心を持ってほしい」と話した。