世界のアパレル売上高第1位を誇る「ZARA」を運営する「インディテックス」が、新CEOの就任と共に、「サステナブル」な刷新的な経営改革に乗り出しました。
SDGsやサステナブルを意識した活動を行なっているアパレルブランドも少なからず存在しますが、いまだにファッション業界は、SDGsやサスティナブルの方向にうまくシフトできていないのが現状です。
そんな中、インディテックスが示した革新的な指標が注目を浴びています。
「ZARA」の新CEOが公表した、環境問題を意識した改革とは
2019年7月、「インディテックス」のCEOにカルロス・クレスポ氏が就任しました。
新CEOカルロス氏がはじめに取り組みを見せたのが、経営の若返り、デジタル戦略やサスティナブルを意識した改革でした。
「ZARA」のショッピングバッグをプラ製から紙袋に変わる、その理由とは?
これまでは、ZARAのショップバッグはプラスチック製の袋でした。
環境に優しい紙製のショッピングバッグではなく、プラスチック製のショッピングバッグを採用していた背景に、雨天時に買った商品が濡れてしまったり、耐久性が弱いぶん破れる恐れがある、と商品を保護する目的がありました。
現在でも、プラスチック製のショッピングバッグを採用している企業として、世界のアパレル業界売り上げ第3位を誇る「ファーストリテーリング」が運営する「ユニクロ」が挙げられます。
しかし、インディテックス新CEOのカルロス氏のサスティナブルな経営改革により、SDGsや、サスティナブルを意識する方針へ変わり、ZARAのショッピングバッグは環境に優しい再生紙を利用した紙製ショッピングバッグに変更されました。
これまでZARAの主要素材を担ってきたのは、化学繊維で作られる「ビスコース」でしたが、サスティナブルを意識した改革の中で主要素材をビスコースからオーガニックな素材に転換していくことが発表されました。
ビスコースはシルクような肌触りでありながら安価で手に入る素材であり、木材パルプを仕様しているものの化学物質で処理されていることから、環境に優しいとは言い難い素材です。現にアパレル業界を牽引する世界的なファッションブランドの多くも同様に「ビスコース」を使用しています。
これまでも、ZARAは「ビスコース」を提供する業者が「持続可能な取り組み」で生産をしていることを条件に「ビスコース」を使用し続けてきましたが、より持続可能な取り組みを図るため、オーガニックな素材に転換するという大きな決断がされました。
世界中のアパレル業界から見ても、アパレル業界最大手のインディテックスがサステナブルな方針を掲げることは衝撃的であり、かつ今後のアパレル業界が変化していくことが読み取れます。
業界最大手「ZARA」がサステナブルな取り組みを始めたことはアパレル業界にとっての"改革"
前述の通り、アパレル業界最大手のZARAが大々的にサステナブルな活動の元経営転換することは、アパレル業界全体へ確実に影響が与えられることが予想されます。
これまでも、エコブームなど小さなムーブメントは起こりましたが、ファッションとしてのブームに近く、継続的には起こり続けることは難しくありました。
しかし、SDGsへの取り組みやサスティナブル活動は、単なるブームとは異なります。
現に、ビジネスにおいてサスティナブルを意識した経営をする企業が増加してきており、企業も単なる慈善活動としてのサステナブルではなく、事業経営の基盤にSDGsやサスティナブルな考えを持ち込んだ経済合理性を含んだ活動へと変化してきています。
新CEO就任と共に大きな改革を行なったZARAのサスティナブルを意識した企業運営は、他アパレル企業にとって、全世界の企業にとって、今後の企業存続に関わってくる重要なテーマです。
このテーマの重要さに一つでも多くの企業が気づき、SDGsやサスティナブルの動きが世界的に加速することでSDGsの目指す2030年の目標達成に近づくことが可能となるでしょう。